「花子ー、どこいくだばぁ?」


「水飲みに。裕次郎…と金髪のほうの子はあこにいたら邪魔になるから強制的にきてもらったんだけどね」


「……裕次郎のせいだ、うんうん」


「何わんのせいにしてるだばあ!凛だって――「はいストップ!」


そういって喧嘩をとめれば裕次郎がうっと言葉をつまらせ、私の顔を見てから「……分かった」と下を向いてしまった。

……え。何か悪いことして怒られた犬みたい…!超可愛い…!




「そーいえばやーさ、わんの名前知らなかったよな」


「あ…うん」


「わんは平古場凛。やーは?」


「田中花子だけど…」


「花子、な。わんは凛でいい」


「あ…うん、凛と裕次郎ね」


練習試合にきたのに、名前呼び合う仲にまでなってる私って…。そんなことを思っていたら、凛がぎゅっと抱きついてきた。それに「ずるい!」だのなんだの叫びながら(いや、犬のように吠えながら)裕次郎まで抱きついてくる。


………暑い。とにかく、暑い。



「…ちょ、2人とも何してんの。水飲みにいくんでしょ?」


「水よりぎゅっとして遊ぶさー」


「今は練習試合!」


凛って人…なんてお気楽なんだろうか。何しにきてんだコイツ。これでレギュラーって…実力は確かなんだろうけど。








ビシャァァアアァァァアアア!


考えに没頭していたら、どこからか水が降りかかってきた。



「うぎゃあぁぁあ!冷たい!冷たっ!何これ?!」


私と同様、後の2人もぎゃーぎゃー言いながら叫んでいる。……とりあえず、抱擁から逃げられただけマシだと思おう。


けど、3人ともずぶぬれだ。…一体誰の仕業なのだろうか。






「あ、ごっめーん!花子ちゃん、水かかった?」


「え…じろちゃ、」


「後のノミ蟲はほっといて、あっちいこ!着替えなきゃ花子ちゃん風邪ひくよ」



そういって、ホースを片手にあらわれたじろちゃん(背後には気まずそうにしている忍足つき)に腕をつかまれてぐいぐい引っ張られる。


「ちょ…じろちゃ、」


「ちょーっと、待つっさー」




それをくいとめるように私のもう片方の腕を掴んできたのは凛だった。




「……何君ー、俺の花子ちゃんになんか用〜?」


「(えぇぇえぇぇ!私いつからじろちゃんの所有物になってんの?!)」


「……水かけといて謝罪なしは、許さねーらん」


「ごめんね〜」


「………なんかむかつく。花子、こっち来るだばぁ」


「そうだそうだ。そんなやつらのとこ行かなくても、こっち来ればいいさー」


裕次郎も凛に加勢してきゃんきゃん吠えている。……えぇ、ちょ、どうすればいいんだ私。



困ったように忍足に目で助けを訴えたら、何かよくわからないけどウインクされた。ちげぇよ…!何を思ってウインクしたの?!どういう勘違い?!使えないな、オイ…!








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