「――あー腹膨れた。」
「お前男みたいにお腹ポンポンすんのやめや。」
そんなことを話しながら通学路を歩いていると、後ろからよく見知った車の音が近づいてきた。
「あ、跡部やん。」
「……っげ。」
跡部はわざとらしく黒のでかくて長いリムジンを私たちの横に移すと、窓を開ける。
「よぉ、おまえら。いつもより遅いじゃねぇか。」
「花子が朝飯食べんの遅いねん。しゃーないやろ。」
「うるさい忍足。早く食べたら味がわからんだろーが。」
「……っふん。まあいい、それより花子。今週の練習内容の紙をちゃんと書いたのか。」
「……すみません、1mmも書いておりません。」
「今日の部活中に出さなかったら鼻フックだ。」
そういうと、跡部は窓を閉じて私たちより先へ行ってしまった。
それよりも――。
「忍足、どうしよ。」
「何が?」
「ださなかったら鼻フックなんだけど。」
「ええやん、豚鼻。」
「よくなああああああい!」
くそ…!こうなったら昨日頑張ってどきばくメモリアルするんじゃなかった…!練習内容の紙とかそもそも鞄に入れたっけな…あ、あった!けどめっちゃくしゃくしゃになってる!
…まあ、いい。どうしよう。
えーっと腹筋50回背筋50回、腕立て伏せ50回した後にランニング5周行って――。
そんなこんなで忍足と練習メニューを考えながら歩いていると、後ろからドタドタとなにやら騒がしい音がしてきた。
ドドドドドッ!ドガッ!「へぶしっ!」
「花子ちゃんおはよ〜!朝から会えてうっれC〜!」
そういって背後から抱きついてきたのは芥川慈郎こと、じろちゃん。――ちょ、顔面から地面に強打したんですが。あ、鼻血たれてきた…。
「……慈郎、お前あかんって。背後から抱きつくのあかんいうとるやろ、さすがの花子も顔面打ったら痛いんやで。」
「あ、そっか!ごめんね花子ちゃん!」
「……いや、いいよ、うん。慣れたから。」
もう50回以上注意しているが1回もじろちゃんが学習してくれないのには慣れたから、いいんだよ。