あの後、忍足と裕次郎が離す離さないで口論になり、このままじゃ一生続きそうだな…なんて困りはててたら木手さんがやってきて、「……何やってんですか、甲斐君」と頭を痛そうにしながら無理矢理裕次郎をひきずって部室をでていった。ぎゃーぎゃー騒いでいる裕次郎に、「ランニングしたいんですか?」なんて言って黙らせていた。……あの人、超怖いわー。




「っぷ…ぷぷ、お前なんだよその格好」


「な…何よ、岳人」


「く…くく、いくらなんでもそれはひでぇぜ…」


「宍戸も何笑ってんの?……くそ、裕次郎には好評だったのにな!」


やっぱり氷帝って最低なやつらばっかだね!分かってないよ、ほんっとー。裕次郎みたいに「可愛いー」なんて言わないとは思ってたけど。思ってたけど、この反応はひどい。私傷ついた。



「……今すぐ脱ぎたい」


「ダメダメ。練習試合終わるまでずっとそれやから」


「はああぁぁああぁあ?!」


「ぷぷ…傑作だな!」


そういって、「どんまい!」とかいいながら肩を叩いてきた岳人が今は恨みの対象でしかありません。……どんまいって!この味噌野郎、笑ってんじゃねーぞ!



「……これ、マジ黒歴史だわ…」


「ちんたらいっとらんと、はよ部室から出ぇーや」


「っは?!ま、まだ心の準備が!」


「……お前にそんな準備いらんやろ。ほら、でたでた」


そういって、忍足に思い切り背中を押されて部室から出た。はいいが、視線が…!視線がああああ!





「(っく…!今すぐ逃げ出したい…!)」


巨体な人とシングルスの試合をしていた跡部が、サーブをうとうとしたが、私に気付いたようで手からぽろりとボールを落とした。




……ちょ、何でそんなみんなビックリした顔してんだ。


比嘉の人らはビックリした顔のまんま止まってるけど、氷帝のやつらはすぐに大爆笑しだした。これだからやだったんだよ!メイドなんて!





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