そんな花子も俺も、中学生になった。
俺は地元の立海大附属に。花子は東京の氷帝学園に。花子は神奈川から通うにはちょっと遠いから、と氷帝学園の近くのアパートで一人暮らしを始めた。
今までいつも一緒にいて、手を伸ばせば届く距離にいたはずなのに、花子は急に遠くへ離れていった。
大好きな彼女を手放すのはどうしても心残りがあった。
――だから、俺は氷帝学園の跡部に花子をマネージャーにしてくれるように頼んだ。花子が氷帝のマネージャーになれば、大会や練習試合で会えるだろうし、それに花子の様子を跡部から報告してもらえる。
――学校ではいじめられていないだろうか。元気にしているだろうか。男は作っていないだろうか。作ったら黒魔術をかけなくちゃいけないな、とか、そんな思いで俺はいっぱいだった。
だって花子が大好きだからね、俺は。
けど、花子は怒った。
『私はマネージャーなんかしたくなかった。平凡でよかった。女子から睨まれるし、厄介ごとばかり。せーちゃんのやってることはオーバーすぎる。』
と。
……俺の意見を押し付けたことについて、花子は今まで一緒にいた中で一番怒った。
電話やメールをしたけど返事は返ってこない。
――このまま縁も切れてしまうのだろうか。そう思っていたとき、俺は花子と――そう、出会ったのだ。
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「運のめぐり合わせって凄いよね。…花子とこんなところで出会えるなんて思わなかったよ。」
そういって、せーちゃんが笑った。