「……ねぇ、花子。あの頃はよく一緒に遊んだりしたよね。」
「……そうだね。」
「へぇ、花子にも可愛らしい子供時代があったんだ?」
「――滝君。黒魔術とか藁人形で遊ぶ時代が可愛らしいって言える?」
「…………。」
「他にもスイカ割りしたよね。」
「……スイカないから私がスイカのかわりしたよね?せーちゃん、本気で私の頭棒で殴ったよね。」
「そうだったっけ?あぁ、鬼ごっことか懐かしいなあ。」
「見つかったらロープで縛られて木に吊るされたけどね。」
「あはは。あれはちょっとしたSMじゃないか。」
「SMで木に吊るすか…?!どういう教育うけてきたの?!」
「……まあ、懐かしいよね。あの頃が。」
「……私の黒歴史だよね、それ。」
「(……なんか、花子がかわいそうに思えてきた。)」
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..
...
「跡部、もうちょい盗聴器のボリュームあげられへんの?」
「あーん?これが限界だ。」
「……なんか、俺たち机のど真ん中に盗聴器置いて集まってんのって、周りから見たら変な集団だよな。」
「……こんなバレバレの変装をしてくること自体変な集団です。……あぁ、帰りたい…。」
「日吉…目が凄い虚ろになっとるで。」
「…………こんな格好をしている自分が恥ずかしくて仕方ないだけです。気にしないでください……。」
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..
...
「(………何してんだろ、あいつら。)」
ちらっと跡部たちのほうを見ると、なにやら机の真ん中に顔をよせてラジオか何かを必死で聞こうとしている。――周りからみたら変な宗教の団体だ。
…可愛い可愛い日吉は、何か知らないけど一人窓際の席で遠くを眺めていた。
……日吉大丈夫か?何か目が死んでるのは気のせいか?
「花子?どうしたの?」
「え?い、いやなんでも?」
「そう?ならよかったけど。」
――あまり向こうを気にしていられない。正体がバレてまずいことはないが――…いや、やっぱり正体がバレたらまずくないか。
氷帝があんなアホの塊だと思われたくない。っていうか、そんなアホの塊のマネージャーだなんて思われたくない。
多分、日吉も今一番私と同じ気持ちなんだと思う。(日吉、どこ見てんだろ。)