「はい、滝君。」

「ありがとう、花子。」

私は滝君にアイスを渡す。――さすがに何かお返ししないと滝君に気の毒というかなんというか。

「チョコでよかった?私バニラだけど。」

「ううん、チョコでいいよ。むしろ悪いね、おごってもらっちゃって。」

「いやー水着選んでもらったからね。感謝してるよ」

歩きながらアイスを食べていると、前方から誰かが歩いてくるのが見えた。よーくよーく目をこらしてみると、それが段々誰だか分かるようになってきて――。




滝君、あっちいこう。

「え?なんで?帰り道こっちでしょ?」

「いいから、こっち「やぁ、花子。久しぶりじゃないか。」うわあぁぁぁぁあああ?!」

あぁ…人生終わった。もう絶望した。



「俺の顔を見てすぐに踵を返すとはいい度胸だね、久しぶりに会ってこんなに感動することはないよ。」

「…………。」

「ねぇ、まだ怒ってるの?メールの返事も返してくれないし…。俺も悪かったって思ってる。」

「………、」

「ねぇ、お願いだからこっち見てよ。」


――その時滝は感じたのだ。

「(何このシリアスな雰囲気。俺いていいの?)」

自分が明らかなKYだということを。
それと、自分と似たように目の前にいる帽子をかぶったおっさんみたいな人もなんだかきまずそうにしている。…うわぁ、なんか置いてかれてるよ、俺達。

「(この人となんだか分かり合えそうだ。)」

いや、分かり合いたくもないんだけど。



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