お店に入ると、水着水着水着。――いや、水着専門店なんだから水着ばっかり売ってるのは当たり前だが、こういう場所に滝君を連れてきてなんだか申し訳なくなった。
……もし自分が滝君と逆の立場にいたら非常にきまずいもん。
「あー…滝君、ごめんね。」
「何が?」
「いや…こういう場所くるの嫌じゃない?」
「嫌に決まってるじゃん。」
「いや…え?そこ正直に答える…?いや、うん、すぐ決めます。ごめんなさい。」
「別にゆっくり決めればいいんじゃないの?俺もこういう体験は貴重だからね。」
そういって微笑んでくれる滝君はまさに天使――。天使が降臨なさった!いつもは悪魔のほうなのに!滝君スマイル恐るべし。こりゃあ女子からモテるわ。
「とりあえず、花子はどういう水着にしたいの?」
「うーん…ビキニ。」
「……………………………………………………。……へぇ。」
「何今の間。滝君馬鹿にしたでしょ。絶対"お前がビキニ着れるか"ってあざ笑ったでしょ。」
「そんなことはないよ。クスクス。」
「笑ってんじゃん!あーもういいよ、どうせ私はスクール水着しか似合いませんよー!」
「そんなことはないって。」
「……もう、私水着選ばないから。滝君チョイスで行くから。」
「俺が選んだのでいいの?」
「おうよ、何でもこいや!」
「じゃあ、この白いやつ。」
「………え。なんかまともなやつきた。」
「俺がまともじゃないって言いたいの?」
「あ!違う違う!…いや、でも、こうも普通に可愛いの選ばれると…こっちも反応が困るというか。」
滝君が指差したのは、白のビキニでレースがついているがいたってシンプルな感じのものだった。谷間の部分には可愛らしいリボンがついていて、真ん中にはハートのダイヤのようなものが埋め込まれている。
「俺はこれが一番いいと思ったけど。」
「……え?本当に?」
「うん。大人っぽい赤とか黒とか、花子は着ないほうがいいと思う。今は背伸びせずに純粋な色でいいと思うよ。」
……本当に滝君に相談してよかった!何この的確なアドバイス!滝君やるね〜!
「ありがとう滝君!じゃあ、これ着て沖縄でみんなの視線をくぎづげにします!」
「うん、大丈夫。誰も花子の水着に興味わかないと思うから。」
「酷い!」
「あ、でも忍足ならくぎづけになるかもね?クスクス。」
「……水着、やめとこっかな。」
そんなこんなで、まあ水着を買いました。人生初めてのビキニ…!私ももうスクール水着の時代とか終わったんだよ。
なんだか沖縄へいくのが楽しみになってきた。
それまでバランスボールでお腹まわり細くしよーっと。