「ふぅ…とりあえず、安心だ。」
とりあえず私が隠れる場所にセレクトしたのは音楽室のピアノにかぶせてある布の中。――さすがにこんなところ、めくらないでしょ。さすがに。
ガラッ。
「見つからないね〜花子ちゃん…。」
「そういえばさっき侑士がカラーボールぶつけられたってよ。」
「……カラーボール?それって、防犯用の蛍光色のペンキみたいなやつですか?」
「俺も詳しくはしらねーけどよ、多分それだと思う。ピンク色の蛍光色にそまってるってよ。」
「……花子もまた凄いことやらかすね。」
声からして音楽室に入ってきたのは岳人にじろちゃん、日吉に滝君だと思う。
「あーもう、あんなすばしっこいやつなっかなか見つからねーって!」
そういって、岳人が私のいるピアノの布を思いきりめくった。
「「「「……。」」」」
「や…やぁ!」
「「「「発見!!」」」」
と、その瞬間に襲いかかってくる野獣たち。それを間一髪でよけ、私は音楽室からでると廊下を一心不乱でかけぬける。
「くそくそ〜!待ちやがれー!」
「ちょ、無理!マジで無理いいいい!日吉ごめんね、後でいくらでも捕まえられてあげるからねェェェエエエ!」
「何馬鹿なこといってるんですか!いらないです!」
「ひどい!」
あぁ、もうそろそろ体力が限界だ。こうなったらどこかで隠れてやつらをまこう――。そう思い、廊下を右にまがろうとした瞬間だった。
ドンッ!
「うわっ?!」
「……残念だったな、花子。」
「ウスッ。」
――廊下をまがった瞬間に、跡部がいた。(その背後には樺地)
「はさみうちとかずるいぞ跡部!」
「あ?ずるい?何のことだ。」
「くっそー!覚えてろよおおおお!」
――沖縄行きたかったのに!タイムウォッチを見ると、残り時間が40分も残っていた。私の完敗みたいですね。
あぁ…こんな賭けするんじゃなかった。
わいわいがやがやと集まってくるスタメン。……なんかもう、悲しくなってきた。
「……沖縄、いきたかったなあ…。」
「あーん?誰が沖縄いかねぇって言った。」
「……え?」
すっと顔をあげると、跡部がニヤリと笑っていた。あ…跡部…!
「跡部えぇぇぇええええ!」
「抱きつくな、気持ち悪い。」
「じゃあ日吉に抱きつこうかな。」
「こっちこないでください。」
「…さっきはあんなに必死で捕まえようとしてくれてたのに。」
「それとこれとは違います。」
あぁ、今なら日吉にどれだけ罵倒されようと跡部に馬鹿にされようとかまわない!ありがとう、跡部!沖縄やっふーい!
「あぁ、ちなみに言っておくが、沖縄へ行ってる間お前は奴隷だからな。」
「最悪だ。」
……嫌なことを思い出してしまった。奴隷とかそういったルールつきだったよ、そういえば…。なんかいっきにテンション下がった。
まあ、いい。沖縄沖縄!
どんな美味しいものを食べられるかワクワクだ!
END.