「……っち!アイツ、なんて逃げ足の速さだ!!!」
「宍戸さん、あの人を追いかけるだけじゃ多分追いつくことは不可能です。」
「……そうだな、長太郎。作戦を練るか。」
――そして今にいたるのだが、後ろから追いかけてきた宍戸と長太郎も諦めたのか追ってこなくなった。それよりどこへ逃げようか。
時間を見てみると、11分35秒…。全然まだまだ時間があるんだけど。
「(このまま走り続けても体力がなくなるだけだし…どこかに隠れよう、)」
こういう時氷帝学園でよかったと思う。無駄に広い校舎のおかげで、隠れ放題逃げ放題。しかも今日は休日なので、一般生徒がいないぶん存分に安心して走れる。
「花子見つけたで〜!!」
「って、忍足いいいいいい!うわあああ、何でお前なんだよぉおおおお!」
「覚悟しぃや!1日俺の奴隷としてメイド服着さすからな!」
「お前にだけは絶対に捕まえられたくないわああああ!」
忍足がきた方向と逆の方向へ逃げると、待ってましたといわんばかりの宍戸と長太郎が。
「…終わりや、花子。」
「おとなしく捕まってください。」
「……っく、ここまでか…!」
いや――まだ可能性はある!
「くらえ!対忍足専用のカラーボール!」
ベチャッ!
「痛っ!何これ、地味に痛いんやけど!ってか俺専用のカラーボールって何やこれ!」
「はは、馬鹿めー忍足がいつ襲ってきても対処できるようにこっちも対策してんだよー」
「お前なんか襲わへんわ!このやろ、後で覚えとれやー!」
「……おい、忍足。大丈夫かよ。」
「……カラーボール…。これ、コンビニとかで扱われてるやつと全く一緒ですね。どうやって手にいれたんでしょうか…。」
「…どうせ跡部ん家から持ち出したんやろ、いてて…腕が痙攣しとるわ…。」