「はぁ…脱出は無理っぽいね。」
「……っち、くそ…。結構時間たったよな。」
「宍戸なんとかできないの?どこでもドアとか出してよ。」
「出せるかよ。」
あれからどれほどたっただろうか。――宍戸と考えた結果、とりあえず出口を探すのはやめて大声をだして助けをよぼう作戦をしてみた。
が、いっこうに誰かが通る気配がない。
…体育館倉庫なんて滅多に人通らないよね。あぁ、いじめの定番のところに閉じ込められちゃったよ!
しかも宍戸と2人!密室!
「ちょ、宍戸あっちいっててよね。」
「あ?なんだよ、いきなり。」
「ムラムラして襲わないでねっていう警告。」
「死ねばいいのに。」
宍戸は疲れたのか、マットの上にごろんと寝てしまった。おま…死ねって!私のこんしんのボケに対して死ねってなんだ。ってかもっとつっこめよ、反応が薄いと逆に悲しくなってくる。
「――あー、腹減った。」
「私も同感。ここから脱出できたら何食べよっかな。」
「俺、焼きそばパン食いてぇ。」
「じゃあ私コロッケパン。」
「あー、じゃあ俺はメロンパンも追加。」
「え、何その組み合わせ。アンバランスすぎない?」
私も半分諦め状態で、宍戸の隣のマットにごろんと大の字で寝そべった。――ここが川原とかだったらさ、青春の1シーンだったなあ。川が流れる音をききながら2人で寝そべって、青い空をみながら"宍戸、空が青いね""あぁ、ここは俺らの秘密の場所だな"ってあははうふふになるはずだったのに――。体育館倉庫だから暗闇しかみえねぇよ。
あぁ、本当お腹すいた…死にそう。
「宍戸ぉ……」
「ん?」
「……短い間だったけど、ありがとね。」
「え、は?」
「私、みんなといれて…楽しかったよ……。」
「え?ちょ、1食食い逃したぐらいで死ぬな!アホかお前は!」
「だってー…。」
「どーせ跡部とかがきてくれるって。」
「……うん。」
「ほら、元気だせよ。」
「……でも、私のラケットモンスター…。」
「って、そっちかよ!腹減ったのほうじゃねぇのかよ、お前やっぱ意味わっかんねー!」
「宍戸も意味わかんねー。」
「お前ほどじゃねぇよ。」
「じゃあいい加減帽子の向き正しなよ。」
「お前何回言う気だそれ。」