「それより、俺たち閉じ込められたけどどうするよ。」
「あー、大丈夫!こういう時に跡部に買ってもらったGPS付きの携帯があるのよ!」
「……なんだよ、それ。」
「なんか誕生日のときに跡部がくれた携帯。部活さぼってもすぐばれるようにってくれた。」
「……お前っ、」
宍戸が一瞬鼻で笑ってから、「よくやった!」と言った。え、何で今鼻で笑ったの。え、宍戸もしかして今私のこと笑ったの?お前、後でアレだ。私が女たちに囲まれてたとき陰で見てたこと、長太郎に言いふらしてやるからな!覚えとけよ!
「――って、あれ。」
「ん。どうした?」
「――ない。」
「……っは?」
「だから、GPSつきの携帯、ない。」
……あっ!そういえば部室においてきたまんまだ!あぁ…最悪だ。でも最低、私と宍戸がいつまでも部活にこなかったらやつらも探してくれるだろう。あれも一応人だしね。
…私一人だったら携帯忘れていったくらいに思われるだろーけど、さすがに宍戸もいないってなったら何かが起こったのはわかるでしょ。
「……はぁ。お前携帯ないってよぉ…。」
「いや、ごめん。宍戸は携帯ないの?」
「もってねぇよ。部室だ。」
「うっわー…頼りになんないなあ、」
とりあえず出れそうな場所はないのだろうか。
「まあこうしてても何にもならないし、出口っぽいところ探そうよ。」
「――あぁ、そうだな。」
手当たり次第にいろんなところを探して見る。――窓、はないみたいだ。このポンコツの体育館倉庫め。金持ちの体育館倉庫なら窓つけろ、窓…!
鍵ばっかりいいの使いやがってよ!
「ふんぎぎぎぎぎ!」
「……何してんだよ、お前。」
「いや、あかないかなーって。」
「あかねーよ。なんで鍵かけたのに開くんだよ。」
「馬鹿力で何とかならないかなーって。漫画でよくあんじゃん、鍵しめられて素手で開けるシーン!」
「一体どこのシーン?!俺そんなシーン見たことねぇよ!」
くそ…出口がないなら正面からいってみたが、やっぱり鍵には敵わない。なんか泣きたくなってきた。あ、そろそろラケットモンスターが始まる時間かな…。
毎週かかさず見てるのに…!まあいいや。あの女たちの名前はフルネで私が紙にかかせてもらいました。(今まで結構呼び出しとかされてきたし覚えてるんだよ。)
…全員跡部に退治してもらおう。
今まで無視してきたが、今回ばかりは許せない。ラケットモンスターが見れない私の苦しみを味わえばいいさ。