「――で、花子は一体何をしにきたの。」
「いや、滝君に古典を教えてもらおっかなーって…。」
「…へぇー、いい心構えだね。いいよ、教えてあげる。」
氷帝のママみたいなポジションにいる滝君。――あれから私は教室へいくと古典の教科書をもってすかさず3年B組にやってきた。っていっても、私のクラスがC組だからすぐ隣なんだけどね。
「で、どこがわかんないの?」
「全部です。」
「……じゃあ、基礎とかは?」
「基礎?」
「律詩とか絶句とか区別つく?」
「……………。」
「はい、分からないんだね。じゃあ教えるから。」
そういって教科書をパラパラめくる滝君。っわー…指白い、長い。髪の毛女の子みたいにサラサラ…。
「――花子。」
「……はい?」
「このパラパラ漫画は、何?」
「……すみません、授業中頑張ってかいてました。」
教科書の端っこには力作の『ゴリラダンス』が書かれている。……パラパラめくってけばごついゴリラが踊りだすだけのいたってシンプルなパラパラ漫画。
「……こんなものかくぐらいならちゃんと集中して先生の話し聞きなよ。」
「おっしゃるとおりでございます。」
「まったく…でも、そういうところが花子のいいところだよね。」
「え――!たたた、滝君、それはもしや、私とお付き合いをしたいと「言ってないよ。」ですよねー!」
滝君が私のこと好きなんじゃないかとか思ったけど全然勘違いだった。
恥ずかしい。
END.