「では続いて第二種目、玉いれをはじめたいと思います。みなさんかごの周りに集まってください。」
おいそこぶつけ合うな玉入れをしろ!
「おい向日。お前のムーンサルトでかごに入ってる玉全部入れて来い。」
「っち…跡部もまったく人づかい荒いよな。」
そういいながらも跡部の指示に従う岳人は本当にいい人だと思う。私なら今の一言で右ストレートでてたね。
「って、あー!がっくん、ムーンサルトでかごのなかのボール全部いれるとかなしだC〜!ボールは下から投げて入れるもんでしょ!!」
「そうですよ。いくらなんでも、それじゃあこっちに勝ち目はないじゃないですか。」
岳人のムーンサルトに猛反論を唱えるのはじろちゃんと長太郎。…いや、まあ2人の意見も分からないことはない。玉入れでそんなことされたら勝率なさすぎて泣けるじゃんか。
「あーん?なんだ、てめぇら。ごちゃごちゃうっせーな、そんなこといってたらさっきの競技だってパンの中身のあきらかな差別があっただろーが。」
「あ〜もう、跡部うるさい!えいっ!」
そういって、じろちゃんが可愛らしく玉を相手側のチームに投げつけた。
ベシッ。
「…………。」
「……っあ、顔面…あたっちゃった!」
じろちゃんが投げたボールは見事に跡部の顔にヒット。…じろちゃんナイス!もっとやれ!なんて内心思っていたのも束の間。
わなわなと震え上がる跡部は、「てめぇら…よくもやってくれたな……。」なんて握りこぶしをにぎりしめながらグラウンドに響くような大声で叫んだ。
「樺地!てめぇのチームのやつら全員に玉をなげつけろ!特に顔面に、だ!」
「ウスッ!」
「ウスッ?!って、樺地何すんだよ!や、やめろよ!お前の玉…いだっ!ちょ、本当に痛い!宍戸さぁぁああああん!」
「って、こっちくんなちょうたろおおおお!」
「こうなったらやけや!お前ら全員ぶったおしたる!」
「えっへへ〜なんかたのC〜!」
――気がつけば、味方も敵も関係なく玉をぶつけあう連中たち。ちょ…お前ら今自分達のする競技分かってんの?!玉いれだよ?!誰が投げ合えっていった、お前らが投げる相手はかごだろぉがァアアアアアアアア!!
「……もう嫌だ。帰りたい。」
「何いってんの日吉。ホームシック?」
「………はぁ。」
日吉が玉の投げあいから避難して本部席にやってきた。あぁ、可愛い。眉間にしわをよせた顔も可愛いだなんて日吉は卑怯すぎないか。
「……花子、これどうする?とめる?」
「いや、とりあえずやらせとけば?めんどくさいし。」
「そっか。じゃあ、俺達はここらへんで休憩しようよ。」
日吉と滝君と私でお茶を開いていただなんて、きっと他のスタメン達は知らないだろうから秘密にしておこうと思う。