ユウジの家でテレビを見ていると、
ドラマの間に挟んでCMが流れ出した。
…あー、はよ始まらないかなあ。
めっちゃさっきの続き気になる。
そう思っていると、ユウジがポッキーを口にくわえながら呟いた。
「プールって入るとき、何でまっぱやないんやろな。」
「っは?」
その時テレビで流れていたのは水着のお姉さんのCMだった。
まっぱ。
私は思わずもっていたポッキーの箱を落としそうになる。
おわあ…!危なかった!
「ふぅ、危ない。」
「…何しとんねん」
チラリとユウジが横目でこっちを見て溜め息をついた。
はぁーって、こっちが溜め息つきたいんですけど。
あんたの超問題発言に対して私ビックリしただけだからね…!くそ!
「あのさ、さっきのまっぱのやつってどういう意味?」
「ん?せやから、
お風呂とかってまっぱなんにプールとか海は水着着用やろ。
おかしない?」
いや、どこもおかしくないけど。
むしろユウジの頭のほうがおかしいような気がする。
「そうやって風呂とプールを差別するような時代に、俺は生まれてきてもうたんか…。」
「むしろ差別するべきだろ。」
「なんやお前、その冷めた目。まっぱなってプールで溺れ死ね。」
「問題発言だし。何?羞恥を曝け出して死ねってか?」
「ははは」
「笑うなああぁぁ!」
そんなことをいってると、ユウジがひょいっと私のポッキーをとっていった。しかも全部。
「ちょ…!あんたね、食べるなら一本ずつにしなさいよ!」
「ケチやなあ」
「いや、当たり前でしょ。」
「……せやけど、まっぱでプール入ったらあかんのっておかしいよなあ」
「まだ言うか」
「俺しつこい男やねん」
「自覚してんのか」
あー、だめだ。これ以上つっこんでいてもらちがあかんからね。
もうスルーしよう、スルー。
「…それにしても、まっぱかー」
「………」
「白石にやってもらおっかなあ」
「ストップ。白石には言わないでね、アイツやりかねないから。」
白石なら学校のプールでまっぱになってもおかしくないし。…うわー、やだー。
白石きもーい。ってなるからね。
「…ふあーあー。あー…ねむたなってきた」
「寝てないの?」
「おん…」
「じゃあ、肩かしげあげるから寝なよ」
「えー。」
「そのえーは何?何?肩幅が広い女子はいやってか?はいはい、ならかしませんよー。」
そんなことをいいながらポッキーを食べると、こてんとユウジの頭が私の肩にのっかった。
「……何、かすなんて言ってないけど?」
「ええやん。落ち着くねん。」
「………ふーん」
まあ…たまには、こういうのも悪くないのかもしれない。
「(お前の肩やけにゴツゴツしとらん?肩パッドいれとる?)」
「(何?殴ってほしいの?)」