――最近の俺はおかしい。

同じクラスの田中を目で追ってばっかや。

恋ってわからん



好き、ってなんやろ。
わからんから、俺は小春に好き好き言うとる。

せやけど、それがどういった感情かもわからん。

わからんことだらけで、
手先は器用なんに恋愛には不器用な俺。

…でもええねん。

恋なんかせんでも、
俺には小春が「一氏くーん。ちょ、裁縫手伝って」

「……!あ、お、おん!」


家庭部の田中はそうやって度々俺のところへやってきては、
裁縫について聞いてくる。

…この田中が神級に裁縫が下手なんや。


もう、ちゅうけんハチ公もびびって像から降りてくるほどの凄さやで!


「えーっと…なんでここでまつり縫いしとんねん…」

「え?ダメなの?」

「あかん。っていうか、縫い目もばらばら…ほんまお前はアホやなあ。」



そういうと、田中が顔を真っ赤にする。



「……ん、ごめん…」

「あ……。
 え、ちょ…いや、悪い意味でいうたんやないんやで!」

泣きそうになる田中の表情を心配そうにうかがうと、
彼女はきょとんとした顔のち――。





「そうかな?」

と満面な笑みで微笑んだ。








――あかん。



「…ちょ、すまん、すぐ戻るからまっとって」

「え?あ、う…うんっ?」

そういって裁縫を田中に渡すと俺は教室からでて扉にずるずると背中からずりおちる。


あー、どうしよ。
何でこないにドキドキするん。


相手はあの田中やで?


女のくせに手先が不器用とかありえんし、
ほんまあんなドンくさいやつなんて――。





「………あかん、めっちゃ…好き、や」




そういうと、
俺はバンダナで顔を隠したのだった。




――どないしよ、小春に相談するしかないんかな。






「(小春、頼む!協力してくれ!)」

「(え?ユウ君が恋ですって――?!)」






―――――
★あとがき

あ、これ長編にすればよかったかも。
なんて後から思いました、はい、
はい…まあ短編で。


一氏はうじうじしてればいいんだよ!





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テーマ「人外ファンタジー」
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