「花子〜!好きやあ〜!」

そういって、ユウジが私に抱きついてくる。
――…まあ、可愛いからいいんだけどさ。

ねこ



「はぁ…すっかりなつかれたわねぇ、花子ちゃんも」

「ほんと…いやになるよ。小春も大変だよねー」

「ほんまやわ。」

そういって、2人して顔を見合わせて微笑んだ。


…一氏ユウジになつかれて、早3ヶ月。
彼とであったきっかけは、
たまたま弁当を忘れてお腹をすかせている彼をみかけたことが始まりだった。



「……あの、よかったら…私の食べます?
 作りすぎたし、食べてもらえたら嬉しいんだけど。」

「……っは?いらへんし。
 小春以外の作ったもんなんて全部ゲス――」

そういってから、
彼は私のお弁当に入っているある食べ物に目をとめて目を輝かせた。


「……これ、食べてええん?」

「(今ゲスっていおうとしたくせに…)ん。いいよ」

そういうと、「わーい!」といいながら
彼は私のお弁当に入っている『オクラ入り卵焼き』を口に放り入れた。


…凄いギャップだなあ。


「んっまー!なんやこれ!
 お前、これから俺のお弁当作る係りやってくれやあ!」

「……っは?」


ってなわけで、今に至るのだが。




「花子、弁当!」

「……はい、どうぞ。」

――そう、彼につくってあげる弁当には必ずルールがあるのだ。
オクラをいれないといけないらしい。

いっかいオクラ買うの忘れて、
まあいっか…とか思ってオクラ抜きで弁当作った日があったんだけど

めっちゃくっちゃ落ち込んでてさ。
――まあ、いつもべたべたしつこいから
たまにはそんなユウジもいいと思うけど、

『……俺の…オクラ…。』

とかいいながらしょぼーんとしているユウジの頭には猫耳が見える気がした。

…っていうか、尻尾も見える!
今めっちゃ垂れてるよ、可愛い…!



「花子(の弁当)ほんま好きやー!」

「(かっこがめっちゃ聞こえてるって)ありがとありがと」

「あっはは。ユウ君ほんま花子ちゃん好きやなー」

「おん!俺は、花子(の弁当が)好きやで!」

「「…………。」」



これ、笑うところか。
笑うところなのか。

あ、小春…めっちゃ私のこと同情した目で見つめてるし!



「(花子ちゃん可愛そう…)」

「(…まあ、もうなれたからね)」

「あー、花子!このハンバーグ、オクラきいてないで!もっといれぇや!」

いれとるわい。これ以上何を求めてるんだ!」

まあ、こんな関係も――。
いいのかもしれない。
……3人ずっと一緒っていうのも、さ。




「(花子が嫁きてくれたらええんになぁ。)」

「(……所詮私は弁当を作るだけの女さ。)」

「(この2人…ええ加減くっつけばええんに。)」




―――――
★あとがき

あちぃぃいい!
夏の暑さに負けてます。

死にそう。




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テーマ「人外ファンタジー」
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