好きになるとな、そいつのことだけしか見えへんかったり、ちょっとした仕草に見ほれてしまったり、たまには我慢できずにタッチしてまう!
これを聞いてくれとるあんたは分かってくれるよな、俺の気持ち!
「白石、邪魔」
「ど・い・てくださいやろ?」
「どけ。」
「うあああぁぁあん!花子がいじめるぅ!」
俺の好きなやつは、俺にめっちゃ冷たいんや。
感情否認
「うぅー…謙也、俺もう立ち直れん。」
「んー?また田中かぁ?お前もよぉーやるよなぁー」
そういいながら、謙也はピコピコと携帯をうちながらミルクティーを飲んでいる。どうやら財前と会話しているらしい。なんや、親友よりもそんな生意気な後輩をとるんか。くそ、謙也なんか風に巻き込まれて飛んでいってまえ。
「なーんかなー、俺がどんだけあぴってもあぴっても振り向いてくれへんねん。」
「あー…まあ、白石のうっといだけやからなあ。田中もメンタル的にダメージうけとんねんろ。」
「なああああに?!アホか、これのどこがダメージうけさすような愛ねん!純愛や」
「狂愛の間違いやろ。」
なんやなんや、出会ったら必ず手ふったり、メール毎日送ったり、たまらず2日に1回は人形さんみたいにぎゅぅって抱きしめたりすんのの何が狂愛ねん!
謙也のドアホっ!
「…まあ、白石も顔はええんやから人間味ある行動すればええんとちゃうん?」
「なんや謙也。俺が常人やないみたいな言い方やな。」
「その通りやん。」
「くっは!うざ、謙也うざ!財前にもちょぃ聞いてみて、どうやったら花子が振り向いてくれるか!」
「……しゃーないなあ、」
そういいながら謙也がピコピコ携帯をうってメールを送信した。
3分ぐらいたって、すぐに財前から返信メールがきた。
「お、きたでメール」
「なんやてなんやて?」
送信者:財前光
件名:きもっ
―――――――――
え、部長何言ってはりますのん?きもいからいっぺん死んでください。
―――――――――
「ぐぬぬぬぬ!」
「わああぁぁあ!何やっとんねん、白石!俺の携帯逆パカなる、逆パカ!」
「せやかて、このメール見てむかつかんほうがおらへんやろ!財前、アイツのゼンザイに今度虫いれたる!俺今決めた!」
「それもきしょいからやめええええい!」
謙也の必死の説得によって、俺は謙也の携帯を逆パカにすることをやめた。けど、財前のゼンザイに虫をいれることはやめようとは思わない。
「(…あれ、花子、あれって白石君じゃないの?)」
「(誰それ?ケフィア?)」
「(あーもう…素直に好きって認めればいいのに。)」
「(好きなわけないじゃん、あんなやつ。)」
.
..
...
「花子!花子、今度遊園地いこーや!」
「っは?誰と?ケフィア?」
「え?ケフィア?んー、まあ白石さんとやけど」
「断る。」
そういって、友達に「いこう」とうながすが友達は困ったようにはははと笑っている。
白石って、よく分からない。ナンパしてくる女は苦手やーとか言ってるわりには、自分からナンパしてるじゃんか。矛盾してるよ。
「花子はなんでそないに俺に冷たいんや…」
「白石がうっとおしいからじゃん。」
「ええ加減俺にふりむいて」
「……自分ナンパしてくる女苦手なくせに、私にはしてくるよね」
そう言い返してやると、白石が一瞬ビックリしたように目を丸めて――それからすぐに照れたように頭をかきだした。
「あ…花子、俺に嫉妬してたんか…そうかそうか、嫉妬してたんか…。
すまんな、俺は花子しか愛しとらん!っていうか、花子がナンパしてきたら絶対結婚したる!」
「意味わかんないから!」
――この感情がどういった感情なのかはよくわからない。
好きか、嫌いか。いや、嫌いではないんだろうな。本当に嫌いだったら今頃先生なり警察なりつきだしているし。
…このもやもやとした感情が、私にはよくわからない。
「(花子、せやから遊園地いこ)」
「(しつこい。)」