「今から3の倍数のときにエクスタシーになり、
 途中で下ネタを挟みます」

部室でいきなりそんなことを言い出したのは白石だった。


ネタ



「うわぁ…なんか私嫌な予感しかしないんだけど。

「花子、俺もや。

そういってユウジが私に便乗してくる。
やっぱり嫌な予感を感じたのは私だけじゃない…!



「――っていうことで、帰るばいね」

「ってお前ら待てええぇぇえぇぇえぃ!

千歳を先頭に部室からでていこうとする私達の目の前を邪魔するように両手を広げて立っている白石。
――なんだなんだ。
どんだけネタ見てほしいんだ。



「……白石、邪魔たい。
 って花子がいっとるね」

「え?ちょ、何人に罪なすりつけてんの。
 まあ邪魔だとは思ったけどね。」

「なんやなんや、冷たいやっちゃなー、お前ら!
 まあまあ俺の新しいネタ見てくれたら帰ってもええで」


いや、マジ超めんどくさい。
部員達もげんなりとした様子だった。――そうだよね、グラウンド走ったりテニスの試合はぶっつづけでやったりと今日はいつもより少しきつい練習だったもんなあ。誰だって早く帰って寝たいよ。

って、千歳が一番思ってると思う。



「…白石なんでそんな体力あんの?」

「こんな練習屁でもないわ」

「あ、っそ。」

良かったですね白石さん。
…って、コイツ朝練とかもみんなの倍練習してるのに疲れないって…。




「……本当に大丈夫なの?」

「大丈夫大丈夫。
 完璧な休憩をはさんどるさかいにこんなん序の口やで」

……完璧な休憩って。
まあ、白石これといって顔色悪いわけでもないし本当に疲れているようには感じないし――心配するほどでもないか。

心配して損した。




「白石はよぉ〜やってーや!ネタ!」

「はいはい、金ちゃんが見たい言うからしゃーなしやってやるで」

「「「「(お前が見せたいいうてんろーがい。)」」」」



そんなみんなの心の声も虚しく、
彼は部室の真ん中にたった。



「じゃあ、いくでお前ら!」

「(やらなくていいのに。)」

金ちゃんが目をキラキラ輝かせながら嬉しそうにしている。
…可愛らしい金ちゃんにめんじて今回は許してやろうではないか。




「いち、に、んん〜、さん!し、

 バイブ!(ファイブ)、んん〜、セックス!(シックス)、

 なな、はち、きゅう、すいまてん。(テン)







みんながドン引きなことに気付いて土下座をする白石。

っもー最初からやるなよ…!
っていうか、何でそのお笑い芸人さんのネタ持ってきたんだよ、
意味わかんねぇ!


「あっはっはー!白石おもろー!」

「………っ!せや、金ちゃん!オモローやっ!

金ちゃんあんま白石調子のらせなくていいからね。


金ちゃんがケラケラ笑っていることに胸をときめかせている白石。
やだなあ。こいつ絶対調子のってるよ、滑ったくせに…!



「……って、銀さん向こう見てどうしたの?
 ――って銀さん笑ってんの?!」

ビックリしたことに、銀さんが顔を真っ赤にして笑っていた。

やばいうける。っていうかなんだ、銀さんって笑いのツボがわかんない。
でも確かにいえることは、『普通の人とはツボが違う』って言うことくらいだろーなあ。



「なあ、花子!」

「ん?」

「どうやった、俺のネタ!」

「……いや、うん。気持ち悪かった。

「ふっふふ。お前も照れ屋さんやな、この〜っ」

そういって白石が抱きついてくる。
うざい。あつい。邪魔。

っていうかいつ私が照れた。
いつ私が褒めた。

このやろー、こんなしょうもないことに時間とりやがって覚えてろよ白石この野郎っ。






「みんな、また俺がネタ作ってきたるからまっとってや!」


「「「「誰も待たん待たん。」」」」




―――――
★あとがき


なべ●つさんのネタ使わせていただきました。
最近テレビで見かけないですね、なべ●つさん。

オモローなのに。






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