「んんー、エクスタシー!」
「「「「きゃああぁああぁぁ!」」」」
「……あれのどこがいいのですかね、謙也さん。」
「顔やないですかね、花子さん。」
If
私は今、謙也と一緒に白石の試合をぼーっと眺めている。その練習風景に見ている女子は感極まって雄たけびのような奇声をあげている。……これが、乙女なのか。
頭が痛くなってくる。
「それにしても、白石はモテモテだね」
「顔がええからな。」
「まあみんな所詮は顔で選ぶのさ。」
そんなひねくれたことを呟くと、謙也がははっと笑った。なんだその笑い。
もてない女に対しての哀れみか、くそ…!
「そんなこと言ってる謙也ももててるくせに。」
「な…っ、そんなわけないわ!アホ!」
「何照れてんの?この間1組の子に告白されてるの見たんだからね」
「っは?いつの間に?」
「ごめん、おもしろいからあとつけたんだ、うん、ごめん。」
「――マジかいやあ、全然きづかんだわ…。」
「それより話し戻すけど、白石やばいもてるね。」
「なんや花子。さっきから白石白石って、白石の名前ばっか連呼しとるやん。」
「っは?!んなわけないし」
「あ、白石こっち来るで」
謙也がそういうと、白石は試合が終わったらしく休憩をしにベンチへこようとする。
わわわ、どうしよ…!
噂の張本人くるとか本当きまずい。
っていうか今一番会いたくない。
「……ほな、俺は失礼。」
「あ、ちょ――謙也いくなあぁぁああ!」
そういった時にはすでに謙也は風のように去っていた。
「(謙也…後でボコボコにしてやる。)」
「花子俺の試合見てた?」
「み…見てた見てた」
「ほんま?謙也とえらい仲良くはなしとったやん」
そういうと、白石はタオルで汗を拭きながらははっと笑う。
――私は知ってるんだ、白石がどうしてそんなにもてるかって。
「……別に、」
「『関係ないやろ』ってか?…せやな、関係ないけどな。」
そういわれると、胸が痛む。
「……関係ないけど、気になるやん。
それぐらい、ええやん」
そういって白石が笑った。
あぁ、その笑顔だ。
――誰もを魅了するその笑顔に、私はいつもやられる。
そして変態発言ばっかかと思いきや、そうではない中身も全て。
…みんな自然と彼の虜になって、
なんだか白石が遠く感じる。私はそれが嫌なのだった。
「花子はほんま遠い存在やわ」
「……え?」
「誰からも大切にされて、すぐ打ちとけあえる。
……俺は、それが苦しい」
「……白石」
「ん。ま、今の聞き流してや」
そういうと、白石が「また試合や!」といいながらコートを駆けて行った。
「(…白石も、私と同じことを思ってるんだ。)」
こんな苦しい思いをしているのは向こうも一緒なのだと思うと、何故だか胸がふわりと軽くなった。
白石って不思議。
何で彼と一緒にいるとこんなにも心が軽くなるのだろう。
それはきっと、
私が白石のことを好きだから。
「(人を好きになるって、怖い)」
―――――
★あとがき
白石ぷぎゃー。