『田中〜、ホームランだせよホームラン!』

『ちょろいちょろいちょろーい!
 私に任せなさい、ほらこい!すぐにこい!』

眠たい国語の授業中に
ひときわ目立った声が耳に飛び込んできた。

「(……このうっさい声って…)」

いや、もしかせんでも花子や。

あー…そういえば体育って今男子が野球で女子がテニス…。

って、お前なんで野球しとんねん。



悪さして逃げる


窓際の席から、
先生の話しを聞く気にもなれずぼーっと体育の授業風景を眺めていた。

…あいつ、
ほんま誰とでもすぐ仲良くなれれんなあ。

ほんま凄い才能やと思う。

男女両方から好かれ尊敬され――。
だからこそ、たまにいじられていたりもするのだが。


「(それがお前やもんな。)」




『おい、おにぎりー!どこ投げてんだ!もっと強いのこんかーい!』

『誰がおにぎりやねん!田中うぜぇ』

『なんだと――?!』

そういうと、
おにぎりとよばれた男子と花子がばちばちと火花をちらせていた。


おーおー。
血気盛んやなあ。


っていうか周りのやつらみんな笑ってるやんけ。



『…いくぜ、田中』

『おう、カモォォオオォォンッ!』


そういうと、
おにぎりとかいうやつが剛速球を女子相手に投げたのだ――。(まあ、あんなん女子のうちに入らんのかもしれんけど。)



カキィンッ!



『『『『『おぉぉおおぉぉおお!』』』』』


なんと、
花子はいとも簡単に大ホームランを打ってしまった。


「(っは…マジかいや。)」



そのボールは飛んで飛んで飛んで――。





ガシャンッ!ガラガラガラッ!


ぎゃあぁぁあぁぁあ!私は悪くない私は悪くないんだ!」



そういうと、
謙也よりも速いスピードで逃げていく花子。

あいつ最低や…。

校長室の窓ガラス破って逃走してもーたで。
あーぁ、悪さして逃げて…。



『こらー!誰や、窓ガラス割ったん!』



『みんな逃げるぞー!って、田中はもう逃げたんかい!


おにぎりを先頭にどたどたと逃げていくおにぎり達。




「(……あいつら、全員逃げよった。)」

あかん。あいつらほんまアホやあ。




.

..

...




その後聞いた話しでは、
何故か花子だけが校長先生につかまり説教をくらったらしい。(まあ、こいつもともと問題児やもんなあ)




「……で、あんたが何でそんな黒歴史知ってんの?
 つーか何部員の前で暴露してんの?」


「ええやん。これも青春やんけっ」



悪さして逃げる時の逃げ足って、
人ってとんでもない秘めた力をだしてまうんやなって知ってもーたからな。






―――――
★あとがき


ヒロインの悪がきっぷりをかきたかっただけ。
はい。すみません。





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