悪酔い
今日はオサムちゃんのおごりで四天のみんなで焼肉を食べに来た。…はいいが、どこかのゴンタクレが道に迷っているらしく、じゃんけんで負けた私が仕方なしに迎えにいくこととなった。…何で金ちゃんは絶対走ってきたがるのだろうか。
普通に車だすってオサムちゃん言ってたのに…。
なんてぶつぶつ文句を言っているとそばから金ちゃん発見。後はお店つれていくだけだ…っていうのに、金ちゃんを迎えにいくだけで結構疲れていたりする。
これからもっと疲れることになるなんて、私はまだ知らない。
「あ〜!焼肉のにおいや!ごっつうまそうやん!」
そういって店内へかけだす金ちゃんの後をおうように私も店内に入る。…と、何故かべろんべろんに酔った千歳と財前と謙也と白石がいた。
え?あんたら未成年だよね?つーか、中学生だよね?そんなことを思っていたら、違う席に座っていた小春が立ち上がって私のところへ寄ると「なんかジュースと間違えて頼んで飲んじゃったらしいのよ…」と苦笑していた。
ハァァアア?!メニュー表見たら普通にお酒とか書いてあるだろ!そう思いメニュー表を開いてみると、右端っこに超小さく注意書きがされていた。こんなの分かるかァアアァァアア!!
メニュー表をバンッ!と置いた瞬間、手首を誰かにつかまれてぐっと引き寄せられた。
困ったように小春が笑いながら「いってらっしゃい」とヒラヒラ手をふっている。こ…小春ゥゥウウウウウ!
「誰!つーか酒くさっ!」
くるっと後ろを振り返ると、千歳だ。……やだ、何この席にいる4人…。私安全地帯の小春達の席にいきたいんだけど。超行きたいんだけど。
千歳に目で訴えかけるが、それはどうやら無意味のようだった。
…千歳と焦点が合わない。駄目だコリャ。
「花子ーむぞらしかー」
「千歳さ…そんな棒読みで言われてもさ…」
しかも超酔ってるから可愛いって言われてもちっとも嬉しくないんだけど…。と思っていたら、千歳が更にぐっと力強く腕を引いたせいで、あぐらをかいた千歳の足の上にぽんっと人形のようにのせられる形になった。…背後からぎゅっと抱いてくる千歳を誰か何とかしてくれないだろうか。
すぐ隣にいた白石がそれにいちはやく気付くと「千歳ェ!卑怯や、お前ー!」なんて威嚇している。
「花子!俺のとこ、カモーン!」
「白石のとこだけは絶対いかないわ」
「何でやねん…!」
「花子さーん、こっち来てください」
「はーい」
可愛い財前に呼ばれて財前のところへ行こうとするのだが、千歳が離してくれない。ので、千歳のおでこに思い切り頭突きをかましてやったら無事解放された。
おでこを赤くしながら倒れている千歳は、どうやら夢の世界へ旅立ったらしい。
「……先輩、えげつない…」
「財前に言われたくないね」
そういいながら財前と謙也の間に座る。前で座っている白石は、どうやら肉を焼き始めたらしい。……黙々と肉を焼く白石を見ていたら、何故か切なくなってきた。
「ううー…花子さん、好きィー…」
「え?何が?」
「花子さんがー…ヒック…」
しゃっくりをしながら財前が腰元に抱きついてくる。…何これ、可愛い。
「テイクアウトォオオオ!」
「させるかァァアアアア!」
財前をお持ち帰りしようとしたら、向こう側の席にいるユウジが座布団を私の顔面に分投げて阻止してきた。…くそ、何故邪魔をする!ユウジには小春がいるじゃん、ちきしょお…!
「むにゃむにゃ…花子さん……」
「え…ちょ、財前…」
腰に抱きついていた財前は眠気に勝てなかったらしく、私の膝の上ですやすやと寝息をたてながら寝てしまった。…なんて可愛いんだろうか。黒猫みたい。
「花子ー、俺もー、俺もー」
「うっさい謙也黙れ」
「なんやねーん…!なんでいっつも俺だけ冷たいんやー!」
「謙也だけじゃなく白石にも冷たいよ」
「あ、そっか」
前で白石がぶーぶー騒いでいるが、無視。謙也は私の頬に顔をよせると、クンクンとにおいをかぎ始める。
「え、何このプレイ。謙也ってにおいフェチ?」
「んー?なんかー、花子ええーにおいするー…」
「あ、そうですか。」
白石ー私も肉焼くの手伝うねー。と言いながら、寝ている財前もにおいをかいでいる謙也も無視して肉をひっくり返していると、何を思ったのか謙也がペロリと私の頬をなめてきた。
「みぎゃっ!」
ジュゥウウウウウゥ。
「あっつ!おま…嘘やろ!あっつ!俺の手火傷した!絶対した!」
あまりの同様にひっくり返そうとした肉を白石の手の上に落としてしまった。うわぁぁあああ!白石ごめん!なんて謝りながらも、謙也の行動にはどきっとしてしまった。
「ふふーん…花子かわえー…」
「……駄目だコイツ。いとこの侑士と同じにおいする。危険だ」
白石と千歳の間に座ると、最初のうちは謙也は「何でそっちいくんや」だの「白石は危ない」だのあーだこーだ言ってきたが、しまいには寝てしまった。…何なのこの席。千歳も謙也も財前も寝ちゃってるし…。
「………あ、肉焼けたみたいだよ。これシロだね。白石にあげる」
「おおーほんまかぁ。花子ええ子やなあ…よしよし」
「え…」
白石に頭を撫でられ、ちょっと頬を染めてしまった。…って、何顔赤くしてるんだ自分ンンンン!
こんなの柄じゃないのに…!分かってるのに…!
「よしよしよし」
「あの、白石、」
「よしよしよしよしよし」
「…………」
「よしよしよしよし…っちゅーことで、チューしても「無理。」………っち」
舌打ちが聞こえてきたが無視。…危ない、何だかのせられるところだった。
「唇は駄目でもほっぺならえーやろー?」
「よくない。悪い。」
「………ほっぺも駄目かー」
そういうと、白石は箸をテーブルに置き、何を思ったのか私の顔をぐいっと両手で掴む。え?え?え、ちょ、ちょ、ま、え!
そんな動揺と裏腹に、白石はキス顔をしている。
「………何してんの、白石」
「ほっぺ駄目なら、唇にしてー」
「無理っていったじゃん」
「ぶー…。ならええわ」
ああ、これで白石から解放される…。そう油断したところを白石は狙ったのだろう。
「狙い撃ちや!」
「え?」
チュッ。
小春達がいるテーブルがギャァァアアアアとざわめき、白石は私の顔を見てか小春たちを見てか、あるいは両方を見てケタケタ笑っている。
「こ……」
「ん?」
「この変態ドスケベ野郎!!ざけんな、ぼけエェッェエエエエエ!」
そう叫んで白石にアッパーをかましたのは言うまでもない。…唇に残った感触がなまなましくて、その日私はろくに焼肉を食べることができなかった。
後日、焼肉へいったときの記憶がないらしい白石が、小春から話しを全部聞いたらしく、全力で土下座をしに来たのはまた違う話し。
―――――
★あとがき
めめ様、リクエストありがとうございました!
蔵光謙千に甘やかされる…てきな感じにうけとったのですが、
これで…大丈夫ですか?←
白石オチになっているかも曖昧でいろいろと心配です。(笑)
何はともあれ、リクエストありがとうございました!