大量にバラの入った風呂に入ると、気をきかせたじぃが室内に癒し効果がある音楽を流し始める。――この時間が人生で一番至福の時かもしれない。
「(…あぁ…癒される…。)」
正直、あの馬鹿な部員共のオツムの面倒を見るのは疲れた。200人の部員を率いるのに疲れるのは分かるが、たったの少人数のせいで俺様の体力はいつも消耗される。
「(……今だけは忘れよう。)」
はぁーっと思い切りため息をついた瞬間、我が家――跡部邸に、ピンポーンとインターホンが鳴ったのだった。
おうち訪問
「おっす、オラ花子。」
「――死ね。」
それだけいうと、跡部はすぐに玄関の扉をしめようとする。
「おおおおおお!ちょ、まままま、待ってください!タンマ!」
「何がタンマだ。今すぐ消えろ。」
「いや…その格好で言われても、……っぷ。」
「………。」
「すみませんすみません!謝りますから扉閉めないでください、お願いします!」
バスローブ姿の跡部がおもしろすぎてからかうと、すかさず跡部が扉をしめようとする。……なんだかご機嫌ななめのようだ、跡部は。
「どうしたの?何で怒ってんの?」
「……俺の癒しの時間を邪魔しやがったからだ。」
「いやあ、それは悪かったね。じゃあお邪魔するね。」
「誰が入っていいっていった。」
そういうと、跡部に首ねっこを持たれた。…ぐぇっ、首がしまる。
「あの、息、とまる、」
「じゃあ今すぐ俺様の視界から失せろ。」
「あの、じゃあ、お菓子、ください。」
そういうと、跡部の手がぱっと離れる。ひぇー、苦しかった。
「……てんめぇはハロウィンでお菓子をたかるガキか。」
「悪かったな。暇+おやつの時間だったから跡部んちきただけじゃん。」
「…あーん?何で俺様の家なんだよ。忍足んとこ行け。」
「つまり私に死ねと?」
「……ふん、冗談だ。」
すると跡部が「まあ家に入れ。」と誘導してくれる。…お、ちょっとは機嫌がなおったようだ。よかった。
「私ポッキーがいいなあ。」
「ポッキー?あ?なんだそれは。」
「棒にチョコがかかってるやつ。じろちゃんがよく食べてるお菓子だよ。」
「ああー…あのいかにも庶民くせぇお菓子か。」
そういって鼻でふっと笑う跡部。うぜぇ。いや、でも今私はお菓子をもらう立場であるんだ。あんまりかんに触ることはいえない。
「…仕方ねぇな、てめぇには大人の味っていうものを教えてやるよ。」
「……え!そ、そんな、でも、今日私ブラもパンツも"酒池肉林"ってかかれたやつd「何の話しだ。」え、あっちけいの話しでしょ?」
「お前マジで死ねよ。じぃ、こいつつまみだせ。」
「っわー!冗談だって!」
困ったような表情をうかべるじぃに跡部は一言、「いつものあれをだしてやれ。」といった。じぃは礼儀正しく「かしこまりました。」というと厨房のほうへと行ってしまう。
「……わー、紳士。」
「誰がだ。」
「じぃが。」
「当たり前だろ。なんせ、俺様のおつきなんだからな。」
「なんだその自信たっぷりなどや顔。」
「ふん。」
しばらくすると、じぃが戻ってきた。――お盆のうえには、こりゃまた高級そうなお皿が見える。
「……おー!フォンダンショコラだ!」
「ほかに抹茶、ストロベリー、ホワイトチョコ味もあるぜ。」
「あ、跡部すげー…あんたマジでなにもんなんだよ。」
これからは跡部んちで3時のおやつをたかろう。そう決めたある日の午後のことであった。