落とし穴
「……なぁ、白石。」
「なんや、謙也。」
「……そのでっかい落とし穴、何?」
――普段から白石の行動はおかしいけど、何でこいつでっかい落とし穴ほっとるん?これ先生とかに見つかったら怒られるで。まぁ俺知らんけど。っていうか知りたくもないんやけど。
「最近花子が金ちゃんにベタベタしてむかつくからな、いっちょはめたろ!って思ってつくっとんねん。どうや謙也、完璧な落とし穴やろ!」
「……あー…そうやな。」
「なんやその冷めた目。謙也死ねばええんに。」
「おま…!何で死なんなんねん!」
白石って、なんだかんだで花子のこときにいっとるから嫉妬しとるんやろーなあ。なんて本人に言うのはあれやから絶対言わへんねんけどな。
授業が終わって、放課後になった。――あーこれから部活かよ。めんどくっさ。
「(ちゃっちゃと終わらせて帰ろうっと…。)」
そういえば今日新しい漫画の発売日なんだよね。あ、それと前からほしいCDもあるからまとめてかっちゃおっかな。
そんなことを考えココアを飲みながら部室へと向かう。
「あ、花子やん。」
「……っげ、白石。」
めんどくさいやつと出会ってしまった。……やっぱりこのまま引き返して帰ろうか。そんなことを考えた瞬間に白石がこっちへやってきて私の腕をひっぱる。
「こっちこっち!」
「は?え?ちょ、何であんた腕ひっぱんの――!」
普段なら"お前の腕よりぴちぴちの女の子の腕触りたい"とかいってるくせに!
「お前に見てもらいたいもんがあんねん!」
「え、何なnズボッ!ぎゃああああああああああぁぁぁっぁああぁぁ!
暗いよ怖いよ助けて謙也あぁぁっぁああぁぁぁあああ!」
「ぶぁっはっは、ざまぁみろ。ひごろの鬱憤をはらしてやったわ!」
「白石お前かぁぁぁああぁぁぁあ!だして!今すぐだせ、謙也あぁぁぁあぁっぁぁ!」
「何で謙也やねん!」
「いや、白石より謙也のが頼りになりそうだから。」
「………なんかむかつく。お前なんか助けてやらん。」
「いやあっぁぁああ!ごめんなさい、白石ごめん!あんた超頼れる男だから、仮面ライ●ー以上に強い男だって思ってるからぁぁぁああぁっぁ!今すぐ出してください、っていうかココアで制服がよごれてんだけどおおおおお!」
「(……あの二人、またやらかしとんのか…。)」
たまたま部活へ行く途中、ちょうど花子が落とし穴にはまる瞬間をみてしまった。
――アホや。
どないしよ、二人ともアホすぎてなんかもうつっこみきれんっちゅーねん。さっさと部室いこうかと思ったけど、何かもうちょっと見ときたいからとりあえず物陰にかくれてみててんけど――。
……白石が嫉妬しとるところ見れてなんか得した気分かもしれん。
「まっとれよー、花子。今すぐはしごかけるからのぼってくるんやで。」
「おうよ」
そういって、白石が落とし穴にはしごをかけたはいいが――。
「ぎゃあぁぁぁああぁぁぁあ!」
「え?いやああっぁぁああっぁああぁぁああ!」
何でかしらんけど、白石がはしごかけようとしてそのまま落とし穴におっこちてしまった。……なんかもう、ため息しかでてこん。
「白石あっちいけー!触るな、お前の手が胸にあたってんだよー!」
「お前のちっちゃいおっぱいなんて触ってへんわ!っていうかおまえココアくさいんや、あっちいけ!」
「ココアくさいのはお前のせいだろーが!がっぺむかつく!」
「なんやと?!」
「(……はぁ、結局俺があいつら助けてやらんといけんのかな。)」
まあ、あの二人に甘い関係なんて求めたらあかんっちゅーことらしいで。
―――――
★あとがき
落とし穴をほっている白石を想像したらかわいらしいな、と思っただけです。すみません。