「さーさーのー葉、さーらさらー」

ルンルンに歌いながら願いごとを書く私。
――そりゃあ願い事っていったら一つですよ!

"ジョニー・●ップ様と結婚できますよーに!"




「……叶わん夢やな」

そういって謙也がほくそ笑んだ。

願い事は何?





「うぜえっぇええぇえぇ!
 じゃあお前はなんなんだよ、見せてみなさい!」

そういって私は強引に謙也の短冊の紙を奪い取る。
――さて、私達はというと、
今部室で短冊の紙をせっせと書いているのだ。

…まあね、
今ぐらい叶わない夢書いたっていいじゃん。



「えーっと何々…。
 "イグアナの結婚相手が見つかりますように。"

 ………………。」

なんやねん。
 笑うなら笑えや、くそ…!」

そういうと、
私は悔しそうな謙也をおかまいなしに大爆笑する。


「っぶはははは!これマジで?イグアナの心配してんの?」

「ええやんけ!イグアナは大切な友達や!親友や!」

「うへ…ついていけないは、謙也には。」

イグアナになるととことん語るからね。
前1回イグアナについて話した時、5時間の熱演開かれたからね。
あんまりこの話題には触れないでおこう。


「っていうか、他のやつのも見ろっちゅー話しや」

「へいへーい、じゃあ千歳のでも見るかなー」

そういって私は書いている後ろからひょいと覗く。




「えー…何々、
 "ジブリ映画が見に行けますよーに"

 …………それ今すぐにでも叶えられるよね。

「1回じゃ足りんばいね。」

「あ…そうですか。」

あ、そうだった。
千歳はかなりのジブリ狂愛者だった…!

本当についていけなくなる時あるもんなあ。




「白石ー、白石は何書いたー?」

千歳の後ろから白石のほうへ声をかけると、
白石が横目でこちらを見る。


「……お前、そんなん一つに決まっとるやろ。」

「?」

"今年こそ童貞卒業できますように"や……!


ぶは――っ!
思わず噴き出しそうになるのを堪えたが、
隣で謙也が勢いあまって机の角に頭をぶつけていた。

…童貞卒業できますようにって、あんた……。

そのパーフェクトな顔一つでどんな女の子でもよってくるんじゃないの?


白石って童貞嫌やー言ってるわりに童貞貫きとおしてるからわかんない。
まあ…そんな簡単に卒業していいほど軽々としていいもんじゃないけどさ。



「……財前は?」

「……ゼンザイ、100個」

そういう財前の顔が少し赤らんでいて、
お姉さん胸がきゅんとしました。

……何、その反応。
ゼンザイ100個って…!
今すぐかなえてあげたいけどそんなお金ないし、ごめんね財前…!



「ラブルスはー?」

「俺は"小春とずっと一緒におれますように"や!
 小春も勿論…なあ?」

「あたしは"花子ちゃんとずっとラブラブにできますように"やで!」

「ガーンッ!
 何で…何でや、小春!酷いで!」


小春…。
凄いなあ、ユウジの扱いに手馴れたもんだ。


隅っこでちょこちょこ書いている二人組にも聞いてみた。


「お二人さん、何かいていらして?」

そういうと、師範が「ぬぅ。」といって短冊の紙を渡してきた。
えーっと…。


「……"鉄が会ってくれますように"?」

「…花子、聞いたらあかんで…!
 今銀さんは弟の鉄と喧嘩中なんや…!」

そういって横で白石がボソっと囁いたが、
それが聞こえたのか師範はずーんと沈んでしまった。

……ありゃりゃ。


「ぎぎぎ銀さん、大丈夫!叶うよ!
 ほら、小石川は?」

そういって小石川の短冊の紙を見てみると、
"キャラが濃くなりますように"って書いてあった。

……やばい。
本当に同情の一言でしか言い表せない。





「なーなー、花子!ワイもかけたんやで!」


そういうと、
金ちゃんがトテトテ走ってくると私の腕の裾を思い切り引っ張った。
ちょ…この馬鹿力がぁああぁぁ!


「ほら!」

「え?あ、あぁー…」

そういって私はすっと差し出された短冊の紙を片手に読む。




「……"みんなずっと一緒にいられますよーに"。」



「なな!ワイええこというたやろ、褒めてや!」

そういって満面の笑みで微笑む金ちゃん。
〜〜〜〜、褒める以上にぎゅっとしたい!
っていうかぎゅっとする!


衝動が止まらずに思わずぎゅっと抱きしめようとしたら、
後ろから一氏に飛び蹴りをされて見事だめでした。



「……ふぅ、不埒なやつを倒したで、小春。」

「せやな、ユウ君。」


不埒って…!
お前にいわれたないわ…!


「まあ…あれだ、
 みんなの願い叶うといいね。」




まあ、叶わない夢がほとんどだけどね。


























「えーっと…みんなは、帰ったかな?」

私は部室をきょろきょろ見渡すと、
誰もいないのを確認して最後の短冊の紙を天辺に飾った。


「よーし…これでいいでしょ。」










"四天宝寺のみんなが全国大会で優勝しますように"






―――――
★あとがき

だいぶ遅れてすみませんでした、
やっと七夕夢がかけました。

…七夕は織姫とか彦星使って
甘くしよーと思ったのですが案外うまくいかずこうなりました。笑


どうかお許しくださいorz





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