「なあなあー、花子ー! レッスン
ワイって、童貞いつ卒業できると思うー?」
「ブフォッ!」
思わず飲んでいたお茶を、
ぶっと噴きだしてしまう。
って、ちょ…!
誰だよ、金ちゃんに下ネタ教えたやつ…!
「……さ、さぁ。どうだろーね。」
「えー、教えてーや!
ワイ、童貞嫌やー!」
そういって、私の肩をつかんで上下にぶんぶんと揺すってくる。
容赦ねぇな、金ちゃん。
――っていうか、何。
この子絶対童貞の意味知らないよ。
「金ちゃん、童貞って意味知って言ってるの?」
「しっとるで!
童貞っていうのはな、
お尻に青いあざがあることやねんろ?!」
……違うで、金ちゃん。
それ、蒙古斑やんけええぇぇぇ!
「金ちゃん、それはね、蒙古斑っていうんだよ」
「もーこはん?マイコはんみたいやあ!」
「誰も上手いこといえ言ってないからね。蒙古斑っていうのは、3歳から5歳で通常なくなるから、
金ちゃんはとっくに卒業してるよ。」
「そうなん?!
なんやー、ワイ童貞卒業しとるんやー!」
だから違う言ってるだろぉぉがああぁぁぁあ!
「せやで、金ちゃんは童貞卒業しとる。おめでとやな」
「おぉ、白石ー!」
白石の登場に興奮する金ちゃん。
――お ま え か !
どうせ、こいつ以外に金ちゃんにこんなガセネタ教えるやつはいないんだろうけどさ。
「金ちゃん。立派な男やで」
「ほんまか?!おーきに、おーきに!
あ、ワイ今からユウジとかにも伝えにいくわ!
童貞卒業したって!」
そういって、だだだだだっと駆けていく金ちゃん。
「って、アホかぁぁぁああぁぁ!
白石なんで止めないの?!」
「ええやん。おもろいやん。」
「うわー、最低だお前。」
「せやけど童貞の意味説明したって金ちゃん絶対理解せんと思うで。」
「……確かにそう思うけど、」
「まあ…金ちゃんもまだケツの青いがきやな」
そういって、白石がケラケラ笑う。
……なんだこいつ。
全ての元凶のくせに。
「…っていうか、どうしたら童貞の話しにいくの?」
「なんや、金ちゃんがよんどるマンガの台詞んなかに
『俺は一生童貞卒業できへん男や!』みたいなあったらしくて、
それ気になったんか知らんけど俺に聞いてきたんや。」
「………あぁ、なるほど。」
そんなことを言っていると、
金ちゃんが帰ってきた。
ダダダダダッ。
「花子〜、白石〜!
明日の部活のおやつは、赤飯やって〜!
わい、めっちゃ楽しみやぁ!」
「「……………。」」
金ちゃんが『童貞』の意味を知るまで、
それは永遠に語り継がれた黒歴史だったのだった。
―――――
★あとがき
金太郎可愛いよ、金太郎。
白石が金ちゃんにガセネタいって
騙してたらかわいいな、って思う。