「女将さーん!助けておかみさああぁぁああぁぁん!」


みんなが幼児化してしまい、
とりあえず女将さんにヘルプをだす。

ヘルプミー、女将さん!


「……あらあら。」

女将さんのほうはというと、全然ビックリした様子じゃない。


「…キノコを食べちゃったのね」

「え?キノコ?」

「マツタケに似てるキノコあるでしょ?
 あれを食べて幼児化するお客さんが毎年いるのよ」

そういって、うふふと笑う女将さん。

笑い事じゃないんですけど。



子供嫌い




「事情は分かりました。
 もし何か困ったことがございましたら、いつでも女将をよんでくださいまし」

そういって、女将さんはにこりと微笑みながら部屋をでていく。

って、ちょっと待て待て。

女将さんのまさかの放置プレイに私もユウジも呆然としている。




一方、幼児化したほうのメンバーはというと。


「くらえぇぇ、ぜんざいぱあぁぁんち!」

「ぎゃっ!う…うわあぁぁあぁぁぁん!

財前に頭を殴られて泣き始める謙也。
マジめんどくせぇ。

泣くなよ謙也、お前男だろーが。
なんていえるはずもなく。


「……謙也、こっちおいで」

そういって、よしよしと頭をなでてやると謙也が可愛らしく私の胸でわんわんと泣く。
…こうしていれば謙也も可愛いのになあ。


「こら、財前、謙也泣かしちゃダメでしょ?」

「ごめんなさい…」

そういってシュンとする財前にきゅんっとときめく。
ぎゃああぁあ!かわいい!かうぁいいよ、お前ら!


この気持ちを分かってほしくて、ユウジのほうを見ると――。



「……なんやこのちっちゃい集まり」

と、見事に顔が引きつっていた。
…あれ、もしかしてユウジって。


「ユウジってもしかして子供嫌い?」

「………おん」




オーマイガッ!
ユウジまさかの子供嫌いだったの?!

わー…こんなんで二人で乗り切れる自信がない。


っていうか、こいつらいつになったら幼児化を終えるんだろうか。

後で女将さんに聞きに行こう。



「花子、花子!」

そういって、謙也がちっちゃな手でばんばんと私の肩を叩く。

「ん?どしたの?」

「だっこ!だっこ!」

言われた通りに謙也を抱っこすると、
謙也が嬉しそうにきゃっきゃと笑った。



「…ユウジ、ほら。
 こうしてたら謙也も可愛く見えるでしょ?」


「……きもい」


純粋な子供のいたいけなハートを傷つけたんでしょうね。
さっきまで泣いていた謙也が再度泣き出しました。


ユウジかち殴ろうかと思ったよ、私。


「うあぁぁああぁぁん!ゆ…ユウジが、きもいって、きもいってぇ…!」

「わ…分かった、分かったからよしよしよし」

必死に頭をナデナデする私と、
顔がひきつったままのユウジ。

が、そんなユウジもある人物に目をとめて目を輝かせた。



「こ…小春ぅっ」

小さくなった小春を発見すると、一目散に小春のもとへ走っていく。


「こは、小春…ハァハァ、小さくなってもかわええ」

きもい。あっちいってよ、今銀さんとおままごとしとんのに」

「あ…せ、せやったんか。
 なら俺も混ぜて――「嫌よ。」


そういってぷいっとあっちをむく小春。
ズーンと肩を落とすユウジに思わずぷっと吹き出してしまいそうになる。


「(…幼児の時から小春は冷たいんだなあ、)」

ユウジに対してだけどね。



- 4 -


[*前] | [次#]
ページ:




「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -