「っていうかアイス半分こしよっていってもどうやってすんの?」
「こうやってすんねん」
そういって、ユウジがカップアイスの半分のところで境界線をひいた。
「こっちが俺で、こっちが花子。で、俺のアイスもそうすればほら平等や!」
「……なるほど。」
なんだ。あーん、とかするのかと思ったらしないのか。内心残念に思いながら、半分に分かれているバニラのほうを食べ始めた。…うん、甘い。
半分このアイス
「なんやお前ら、えらい仲ええな。」
「なんや白石、お前会話に入れんからって何すねとんねん。」
「ははは、確かに俺は金ちゃんとしか喋ってな――…やなくって!アホか!すねとるんやなくって、外から見たらお前らめっちゃ仲ええで」
「は?」
「俺らが幼児化した時に一気に親密関係になりやがって。あー、俺も花子のこと狙ってたんになー」
そういって白石がアイスをひょいひょいと食べている。
金ちゃんはもうアイスを食べてしまったらしく、ソファーで寝てしまっていた。
私達はコンビニへいってアイスをかうと、すぐに宿へ戻って私の部屋でアイスを食べることに。…何で私の部屋にきたんだ、お前ら。
「…ななな!何を、いうて…!」
「こら白石。冗談は顔だけにしなさい。」
「あはは。なんや、花子にはばれとったか」
そういって白石はアイスを食べ終えるとカップを片してゴミ箱へ捨てた。そして席を立ち上がると、ソファーで寝ている金ちゃんを担ぎ上げて扉から出て行こうとする。
「え?もういくの?」
「…ほんまに邪魔もんやからな。2人でゆっくりしぃや、こういう時ぐらい。」
そういって白石は片手をヒラヒラふりながら部屋をでていく。あ…あいつ…!
あいつ、空気よめるじゃん!
なんて感動をしたが、すぐさま現実に戻る。え、ユウジと2人っきり?ええええ、ちょちょちょ。話し続かなくなりそうなんですけど、あぁ、どうしよう、そういえばキスされて、え、あの話しはどこへ?!なんてパニックになっているとユウジがスプーンを置いて話しだした。
「なぁ」
「え?」
「ん…いや、なんていうか…その、」
「……うん」
「俺、この合宿なんだかんだで充実しとったわ」
「…………。」
「正直子供は苦手やし、きっと俺一人やったら宿から逃げてたかもしれん。…なんて大げさやけど、せやけど花子がおらんだら俺は何もできんデクのぼうやった。……花子がおってよかったなって、思えてん。」
「……ユウジ。」
「なんや…花子とおると、胸がきゅーっとなるし、白石と話しとると頭ばこんって殴りたなるし。……あんな、それにな、小春と話ししとるのにも…なんか、悲しくって、」
「うん」
「なんか…なんか、俺自分がわからへん。」
「……うん。」
「……でもな、俺思うねん。
これが…恋っちゅーやつやないんかなって」
そういって、今まで下を向いていたユウジが私と視線を交わす。
…それに胸がどきっと高鳴った。
「…花子は、どうなん。俺みたいな症状になったことある…?」
「……あるよ。」
「…っ、そ…そっか。」
「……ユウジを見てると、私もそんな気持ちになるんだ。」
そういって、ユウジのことを正面から抱きしめた。
愛おしい。いとおしすぎる、ユウジが。
今までにない別の感情がわきあがるようにふつふつと私の心の中で充満している。だけど、決して嫌な感じじゃないんだ。
幸せなような、暖かいような。……ユウジと、同じ気持ちだよ。
「…好き、ユウジが。」
「……っ」
「大好き……っ」
そういうと、ユウジが優しく私の肩に手を回す。
「ん。…俺も好きやで、花子」
二度目のキスは、バニラアイスの味がした。