「ほな、いくで花子ー!」

「かかってこいやー!波動球で返してやるからなー!」

「ははは。お前には一生無理や。

「ははは。知ってますとも。


恋のキューピッド



ユウジになぐさめてもらった後、私達は試合をして汗を流して旅館へ戻った。
…シングルスで勝負したが、やっぱり現役には勝てず、
1セットもとることができなかった。


「せやけど、お前女子テニス部入ればええところまでいけるんになぁ。」

「…え?」

「せやから、初心者なんになかなかの腕しとるでって言うてんねん。」

ユウジから褒められてビックリして顎が外れるかと思った。
――このユウジが、褒めるということをできるとは…!

今までのろい・遅い・仕事せぇの三拍子だったのに、私もやればできるんだね!


「…何ニヤニヤしとんねん。」

「え?別に。」

「…泣いたりニヤニヤしたり、忙しいやっちゃな。」

そういってユウジが頭をかいた。
…あ、照れてんのかな。


「……ユウジも照れてんじゃん。」

「……っは?な、どこが照れとんねん!」

そういって顔をカァァと赤くして私を見るユウジ。
…いや、もろに照れてますがね。


「…いや、まぁ認めたくないなら照れてないってことでいいけど」

「……っ、お前って…なんかよぉ分からんわ、」

そういってユウジがぷいっとどっかを向いてしまった。
…それはこっちの台詞だよ、ユウジ。


「(ユウジの気持ちが知れたら楽なのになあ。)」


.

..

...


「ただいドガッ!…ぐはっ!田中花子のHPがあぁぁ!」

「花子、おかえりー!」

帰ってくるなり抱きついてきたのは金ちゃんだった。
この怪力馬鹿、力加減考え…いだだだだあああ!
腰にまきついてきた金ちゃんなのだが、力あまってバキ!ボキッ!と見事に私の腰を折ろうとしてくれてる模様。


「あぁぁあ!金太郎、あかん!花子今腰痛で悩んどれんから、それ以上あかん!」

そういってユウジが慌てて私から金ちゃんを引き剥がしてくれた。
…はいいが、私はへなへなと力つきたように地面に膝をつく。


「(腰痛で悩んでないのに…)」

「花子、大丈夫か?お前油断しとるから腰痛くなんねん…」

「………(いやいや、主な原因お前らだろーが。)」

朝からユウジにプロレス技かけられるは、金ちゃんに腰バキバキされるは。
普段のマネージャーの仕事とかも楽そうに見えて結構腰に負担かかるんだからね!


「…花子ちゃんだいじょうぶぅ?
 腰いたいならしっぷとってきてあげてもええけど」

「え?いやいやいや!小春にそんな気つかわせれないよ!」

せや!小春は座っとき!」

そういってユウジが立ち上がる。

「俺が湿布とってきたるから、ガキら食事につれてってやってくれるか?」

「あ…うん、わかった。」

「……おおきに。」

それだけいって、ユウジは部屋をでていく。
――そんな私なんかのために、わざわざいかなくてもいいのに…。

そう思っていると、後ろから小春に声をかけられた。


「花子ちゃん、恋やねえ」

「え……っ?」

「花子ちゃんがユウ君を見とる目はまさに恋する乙女!
 んも〜、あたしがきょうりょくしたる!」

「は?え、ははははあああ?!」

いやいやいや!いくら小春が子供になってもIQ高いからって、私そんな分かりやすいのか?!ううんんん?!



「もうかくしてもばればれなんやからん!
 …ふたりがくっついてくれたら、あたしもう最高なんやけど」

「え?」

「せやから、一氏のあんぽんたんがひっついてこんくなるから最高やっていうてんねん。

あ、今小春の背後に何か黒いものが見えた気がする。





「……さようですか。」

「まあ、おうえんしとるわ!花子ちゃん」

…子供に恋応援されるってどーよ。まあ、小春だから許されることなんだと思うけど。



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