「はいはい、買ってきたで、アイス」

そういってユウジが帰ってくるなり謙也と金ちゃんがユウジに抱きついた。


「うぉお?!なんやガキども、どないしたん?!」

「…あはは、ユウジ好かれてんじゃん。」

そういって笑うと、ユウジが困ったような表情をした。
――なんか会社帰りのお父さんに抱きつく子供の図、てきな。

…って、何また妄想してるんだ自分!

穴に埋まりたいいいいい!








「はい、謙也」

「おおきに!」

「はい、金太郎」

「まいどまいどー!」

「…花子も」

「ありがとー。」

そういってユウジが渡してくれたのはハーゲンダッツのイチゴだった。
ハーゲンダッツって普通のアイスよりちょっと高いんだよね、ユウジ奮発してくれたんだなあ。そう思うとなんだか感動してしまう。


「あー、金太郎慌てて食べるから口元汚いで」

「えー、うそやー!」

「ほんまやって」

そういって、ユウジが金ちゃんの口元をゴシゴシこすっている。
…本当にユウジって子供嫌いなのかな。
って疑問に思ってしまうほど手馴れていてビックリした。



「…どないした、花子」

「え?え、え?何が?」

「いや…そんな俺のこと見つめてどないしたんかな、って思って。」

そういわれて顔がカァァと赤くなった。
私そんなユウジのこと見つめてたの?!馬鹿な、そんなわけない!



「あ…あはは、いや、蚊が飛んでるのを見てただけだよ」

「……ほんまに?」

「本当だよ、何疑ってんの。」

そういうとユウジが、「そか。」といって笑った。
…何とか誤魔化せたからよかったものの、はぁ…。
私相当ユウジにときめいてるんだなあ。



……これが恋、なのかなあ。




「…すきありっ!」

「って、ぎゃあぁぁ!私のイチゴアイス!」

「食わんほうが悪いんや」

そういってユウジがすかさず私のイチゴアイスをひょいっと食べていった。
…そんな顔で笑われたら、私どういう顔すればいいかわかんない。




「(恋?恋なのかな、うぅん…。)」



私は苦い表情で、少し溶けたイチゴアイスの甘さを舌で実感したのだった。





「(恋はアイスみたいに甘いだけじゃないんだな、)」



…こんなに幸せなら、
四天のみんながこのままずっと幼児化しててもいいのに。

って思ってしまう自分も心のどこかにいたりもした。




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