「花子はわいと一緒に寝るんや!」

「いーや、俺と寝るんや!」

そういって、謙也と金ちゃんが火花を散らしているのを目の前にはははと苦笑する私とユウジ。

――いい加減に止めないと、謙也泣くだろうし止めなきゃなあ。


「はいはい、二人とも喧嘩はいけな「くらえ!ざいぜんぱーんち!

ドンッ!


「う……うああぁぁあぁぁあああん!」

「………あーぁ、金太郎何やっとんねん」

そういってユウジが金ちゃんの頭をごんっと小突く。
…金ちゃんはどこでそんなパンチを覚えたのか知らない(きっと財前が教えたんだろうなあ、ざいぜんぱんちっていってるし。)が、おなかをパンチされた謙也が大号泣している。



「せやかて!わいの花子をとろーとしたもん!」

「せやけど暴力はあかんやろ?」

ユウジがそういって、「っめ」といって金ちゃんを怒った。
…それを見てきゅんってしてしまった自分が不甲斐ない。


ユウジ=アイス



「……ってなわけで、またこのパターンかい。」

「しょーがないやろ。金ちゃんも謙也もうっさいし、
 せやけどこの二人を花子だけにはまかせれんし。」

――昨日は財前と謙也とユウジで寝たが、
今日は少しチェンジして金ちゃんと謙也とユウジになった。

…っていうか、謙也お前甘えすぎだろ。

可愛いから許す。




「なー、花子ー、わいたこ焼き食べたなってきた」

「我慢しなさい。」

「えー!たこ焼きたこ焼きー!今食べんといーやーやー!」

そういって駄々をこね始める金ちゃん。
…あぁ、こういう時白石の毒手があればなあ。って今更白石の存在の大切さに気づく。



「…ユウジどうする?(ボソッ」

「無視したら?(ボソッ」

よくそんなこと言えるね。金ちゃん甘くみたらダメだって、朝までずっと暴れてるよ(ボソッ」

「せやけど、(ボソッ」


たこ焼き!たこ焼きいいいいい!

「「…………。」」

そういって布団の上で暴れている金ちゃんを必死になだめるユウジ。



「あかんで、金太郎。さっきご飯食べたやろ?」

「あんなんじゃ足りひん!もっとたべたい!」

「……ならアイスでええか?」

「………あいすぅ?」

そういって目をキラキラ輝かせる金ちゃん。
うわ、めっちゃ食いついてる食いついてる。


「おう、アイスや。冷たくてたこ焼きよりもおいしいで!」

「ならアイスがいい!」

「謙也も食べるか?あ、いらんか。」

ななななんでえ?!おれもたべたーい、あいすぅ!」

「あはは。まあ、買ってくるから花子、おもり頼んだで」


そういってユウジが笑いながら出て行ってしまった。
……なんだろう。

ユウジ、最初は表情かたかったような気がするんだけど、
今じゃあ随分柔らかくなったような気がする。


「(こんな短時間の間にだけどさ。)」

…まあ、ユウジだって人の子なんだ。
子供嫌いだって克服してきてるんじゃないだろうか、と密かに推測している。




「なぁーなぁー、花子ー」

「ん?どしたの金ちゃん。」

「あいすってぇ、なん?」

「甘くて冷たくて、おいしいんだよ。」

「へぇー。なんや、ユウジみたいなんや!」


ん?と首をかしげる。
アイスのどこがユウジなんだ…?



「どういうことかな、金ちゃん。」

「せやから、冷たいんに甘いってユウジやん!
 ユウジ、あんなんやけどじつはめっちゃ甘いやん!」

???

やばい、金ちゃんが何を言いたいかわかんない。



「(まあ、子供のいうことだしおかしいのもあって当然か。)」


そう思いながら、私はそんな言葉を聞き流した。









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