「はぁー、今日もあっついで。」
「はいはい、お疲れ様、ユウジ。
…ドリンクだよ」
「おーきにっ」
そういってユウジがドリンクを貰うと私にニッコリと微笑んだ。
…きゅんっ。
ガキのおつかい!
「ぎゃああああぁぁあぁぁ!リア充が目の前にリア中が目の前にリア中が目の前にリア充が…(ぶつぶつ」
「……白石なんねん。お前邪魔しにきたんか。」
「ちゃうわ!たまたま通ろうとしたらお前らバカップルが通行止めしとったんやろーが!……っく、ユウジに彼女なんて100万年早いはずなんに…」
「お前失礼やろ。」
そんなことがくり返し行われていく日々。
…変わったことといえば、私とユウジが付き合って少しだけ接近が多くなったことくらいだろうか。
――しかし、そんな私達がきにくわないのか、白石がたまに入ってくる。あいつ、空気よめてるって思ったことあるけどやっぱり空気よめてなかった。今すぐ滅しろ白石。
「……はぁ。俺は何で彼女できへんねん。」
「そういう性格だからじゃない?」
「花子どぎついこというたらあかん。そこはあえて少しごまかして、全部っていうのが正解や。」
「お前らの気持ちよー分かったで。どぎつい右ストレートきたわ、ぐは…っ!」
そういって倒れるアクションをする白石。私とユウジは目をあわせて、『よしここは無視しよう。』と決めた。…めんどくさいことは回避が一番!
「…なんやこれ、邪魔。」
ゲシッ。
「うっわ…!財前お前ほんま先輩にも容赦ないな〜…」
「あ、ほんまや。部長やったんや」
「……お、おまえら…っ」
たまたま通行するはずだった財前と謙也だったのだが、財前が通りに寝転んでいた白石を蹴ってしまった。…ナイス財前!
「謙也殴る!今すぐ殴る!」
「って、何で俺やねん?!ぎゃああぁぁあ、くるな白石いいいい!」
同じ時速で走っていってしまう二人。
それを見て「あーあ、あの人らは…」と溜め息を財前がはいた。
「……先輩ら、毎度毎度部長が邪魔して張り倒したならんのん?」
「いやそりゃなりますけど。…まあ、いつものことだし。」
「……そっすか。ならよかったわ。」
そういって財前がニッコリと笑って二人のあとを追っていってしまった。…え、何あの笑顔。財前が…財前が笑顔?!
なんてミスマッチ!
「……財前、何で今笑ったんだろーね。」
「不気味やったな。」
「明日雨だね。」
「せやな。」
そういってうんうんと頷きあう私達。
あ、明日っていえばそーいえば――。
「……明日、そーいえば初デートの日だよね」
「……っぶは、このタイミングで言うかお前!」
「いや、今がグッドタイミングかと。」
「……ま、まあええわ。
せやなあ、正式のデートは明日が初や。」
明日、ユウジがスポーツ店へ行きたいっていってるからスポーツ店へ行って、それからデパートへいって私は洋服を買うつもりだ。…まあ、洋服はユウジに選んでもらうとする。
「……楽しみだなあ」
「…俺も」
「…………」
「な、なんやねん!その目、やめぃ!」
「いや、ユウジ顔真っ赤だなーと。思いまして。」
「こ…これはなあ、日焼けや!」
その言い訳2回目じゃないですかね、ユウジさん。…日焼け好きだなあ。
「…まあ、いいや。あ、それよりそろそろ試合の時間じゃないの?ユウジ。」
「あ…っ!ほんまや、小春とダブルス組んで1年の相手するんやった!おおきに、花子!」
そういって、急いで走っていこうとするユウジだったのだが、
少し走ってから足をとめてクルリとこちらを振り返った。
「…頑張るから、俺の試合みとってな、花子!」
「はいはい。1年生笑かしてこい、ユウジ!」
「おん!」
――恋は何気ないものから始まって、
加速するものなんだと思った。
…どうやら私達の恋の加速は止まらないらしい。
「(大好きだよ、ユウジ)」
「(ななな!恥ずかしいこと、言うな!アホ!)」
fin.