「――っていうわけです。…って、え、あの、小春?あれ?小春なんで泣いてんの?」
「い…いや、ユウ君も…花子ちゃんも成長したわね…グスンッ、」
「花子コラ、何小春泣かしとんねん!浮気かー!」
「浮気じゃなーい!」
幸せもん
朝、部活前に昨日のことを小春に言うと小春が泣いて喜んでくれた。…何だろう、小春ってお母さんみたい。泣いてくれるとは思わなかった。
「…グスン、よかった…お幸せにね、2人とも…っ」
「小春ぅ…この際3人で幸せに「ありがとね、小春!」
そういってユウジの言葉をさえぎった。
馬鹿かお前は。2人の幸せを何勝手に3人にしようとしてんだ。
それって、あれか。
私と小春が付き合えってか。それかユウジが小春と付き合うか。いや、そういうフラグになったら私もう付き合ってられないっす。
「おーい、ラブルス+おまけー」
「私オマケかよ」
「オマケやん。今のうちストレッチしとけよー、10分後にはランニングやで」
白石のその声にユウジが「マジか…。」とトーンを落としていた。どうやらユウジはあんまり走ることが好きではないらしい。
「…花子は走らんの?」
「え?走れってか?やだよ、ユウジ頑張れ」
「あはは。ほらユウ君、花子ちゃん応援してくれてんねんからはりきりなさい!」
「そうそう。謙也に負けないくらいに頑張ってね」
そういうと、ユウジが何故だか顔を真っ赤にして照れていた。…どこに照れる要素があったのか教えてほしいんだが、まあいっか。
「…よっしゃー!俺なんか頑張れる気がしてきたような気がしてきただけや。」
「だけかい。…はい、頑張って」
そういってバシン!とユウジの背中に渇をいれてやった。
「いった!お前ほんま女か!」
「むしろユウジの彼女ですが。」
「な…だ、誰がそんなこと言えっていった……っ」
そういって、真っ赤になった顔をバンダナで隠すユウジ。…それがほほえましくて、思わずにやりとしてしまう。
ユウジは、小春に「小春!いくでぇ!」といって小春の腕をひっぱりながらいってしまった。…はてさて、私はゴールでみんなのドリンクとか用意しなくちゃいけないんだよね。
そんなことを思っていると、後ろから声が。
「花子さん」
「うぉ…?!って、財前か。」
「…なんや、俺やったらダメなんかい。」
「そんなことはないけども」
「……まあ、ええっすわ。それより、なんでユウジさんなんですか?」
「あぁ、それは――…って、どういう意味?」
「先輩らの会話ばっちり聞こえてきたんで、2人がお付き合いしとるんやーって思ったから。」
そういって財前がにやりと笑った。くそ、そのピアスひっぱったろか。
「……ユウジさんのどこがええん?」
「まあ…しいていえば全部?」
「きも。」
「お前なんだ。正直に答えてやったらなんだその返し。」
「……っふ、まぁユウジさんええんやないっすか。
まあ、少なくとも部長なんかと付き合うよりかは。」
「うん、まあ白石は最初から論外だからね。」
そういうと財前がくすっと笑ってから「お幸せに。」といっていった。
…なんだ、なんなんだよ財前のくせに。
「(俺もちょっとは花子さんええと思ったけど、ユウジさんにとられるとは。)」
まあ、部長にとられるよりかは悔しくないからええか。