「ふぁ〜、よく寝たわ…」
眠たい目をこすりながら起きると、何故か隣には花子がいた。
「うぉお?!…え、こいつら何しとってん」
花子の両隣には、小春と財前がくっつくようにして寝ていた。
……んんん?花子の手に握られとるコレはなんや?
「……『油性マジック』?」
――俺は嫌な予感がして慌てて洗面所へと向かったのだった。
恋愛対象
「ぎゃああぁぁあああぁぁ!痛い痛い痛い痛い痛いいいいいい!」
「ほんまお前どつく!公開処刑や!」
「ひにゃあぁぁぁぁぁ!」
PM:9時。
皆さんおはようございます。
朝からケーキをたくさん食べる幸せな夢を見ていたら、ユウジにプロレスの技をかけられて無理矢理夢からさめました。
ぎゃああっぁぁぁぁ!いてぇぇぇええぇぇ、ってか手加減なしかよおおおおお!
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいいいいい!」
「死にさらせぇぇぇえぇぇ!」
でもぶっちゃけ、そんな落書きされた顔で技かけられてもちっとも怖くありませーん。
なんていったらユウジがもっと怒るので言いませんがね。
「ん…、あら何の騒ぎ…?」
「おぉ!小春ぅ!おはよ!」
「………ぷしゅー。」
小春が起きたことにより、ユウジは私から離れて小春のところへと犬のように尻尾をふりながら行ってしまった。……腰が痛い。この歳でぎっくり腰なるんじゃないかと思った、うん。
「……っぷ、ユウ君酷い顔」
「うぅぅ、酷いで小春ぅ!俺の顔に落書きするなんて!」
「(小春はよくて私はダメなのか)」
「おぉい、花子、お前後で覚えとけや。
まだ俺のお仕置きは終わっとらんからな」
「って、まだあんの?!
長っ、てかあんたどんだけ根に持つ気だ!」
今のプロレス技でもそうとう堪えたのに、まだ続くと思うと憂鬱になった。…まあ顔に落書きした私も悪いんだけど。
「…ユウ君も花子ちゃんも仲むつまじいわねぇ。」
「全然仲むつまじくないわ!」
「あら?そうかしら。ねぇ、花子ちゃん?」
そういって私に話しをふる小春はずるいと思った。
――本当は認めたいのだが、私は笑って誤魔化した。
「えぇ?そんなことないよ、あはは」
…きっと私はユウジの恋愛対象には入らないから、このままでいいんだ。
……このままで。