アドレス帳を開いて、「一氏ユウジ」の欄を開き通話をかける。


『なんや』

「ユウジ、今暇でしょ?」

『…なんやねん、寝かせてくれーや。
 子供白石のおもりでめっちゃ疲れとんねん。』

知らんがな。喧嘩両成敗、
 それより今ロビーで千歳と金ちゃんが寝てるんだけど運ぶの手伝ってくれる?」

『嫌や。』

って即答?!ふざけんなよユウジ、今すぐこなかったらお前あれだからな、ピーしてやるかrブチッ!


言葉を言いかけた瞬間に電話をきられた。
くそ〜ぅ、ユウジお前覚えてろよ!

×××なことして×××なことしてやるんだからな!


マセガキ




「――……はぁ、はぁ…っ」

結局私が千歳と金ちゃんを両脇に抱えて部屋まで帰ってくることになった。
――何たる力持ち。

こういう時に握力30の力が発揮されるんだと思う。
あ、これ腕力の問題か。



ガラッ。


「お届けもの持ってまいりましたー」

そういって部屋に入ると、
小さな白石が「あ!花子や!」って言って小さな足でとてとてと走って足に抱きついてきた。

…可愛いなあ、まったくもう。




「お、帰ってきたん?」

「うん。まあ、あれだ、
 ユウジ一発殴らせて?

「…ガキの前で何いうとんねん、教育に悪いわ。」

めっちゃ正論を言われて言い返せなくなる私。
くはー!ユウジ腹立つ!

たまたま廊下を通りかけたユウジはそのまま廊下を歩いていってしまった。
…なんなんだ、あいつ。



「…なあなあ、」

「ん?どしたの?」

「花子はおれのこと、すきやろぉ?」

そういってキラキラの瞳で見つめてくる白石。
ぐは…っ!田中花子、1000のダメージ!
じゃなかった、何?!子供の可愛さ使って何言ってんの、白石!



「いや…え、あの、」

「すきやろぉ?」

「…え、うん、まあ。」

普段の白石だったら有無を言わさずぼこってたけど、
子供だもんなあ。

神様、今だけ私の甘さを許してください。




「よかった!なら花子とちゅーしたい!」

「っは?却下。

「えー」

「乙女のチューはあげません。」

っていうか今だにチューしたことないんだよ。これマジな話し。



「…っちぇ。花子は落とせんかぁ」

「………。(何ませたこと言ってんだろこのガキ、川に流したろか。)」




とりあえず白石と千歳と金ちゃんをベッドに寝かせると私は部屋を出た。


――本当だったら、部屋割がちゃんと決められているのだ。


白石・金ちゃん・千歳グループ。
小春・ユウジ・財前グループ。
謙也・小石川・銀さん・オサムちゃんのグループで、

私一人だけ別室で広々と使えるのだ。

…とはいえ、この状況で一人で寝ていいもんだろうか…。

ただでさえうるさいあいつらが、
子供に戻ってしまったら他のお客さんに大迷惑になるんじゃないかな。


まあ、謙也と財前が離れてたことが運がいいのかもしれない。

さっきの喧嘩といい、子供になると衝突しあう二人。…ダブルス組んでるくせに仲が悪いから困ったもんだ。




「(…他の部屋も覗いていってみるか。)」

そう思い、ガチャリと扉を開くと子供達は一応みんな寝静まっていたようだった。

…うむ、これなら大丈夫であろう。




「(それじゃあ私は露天風呂にでもつかろうかな。
 今の時間なら誰も入ってなさそうだし。)」

それに、こんな夜中に入っていたって大人の人とかくらいだろうし大丈夫だよね。

よし、風呂だ風呂!
私は着替えを持つとルンルンで廊下をスキップしたのだった。


恥ずかしい?

そんな単語、私の辞書にはありません!







- 6 -


[*前] | [次#]
ページ:




「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -