「……あれ?ここ、どこ?」
「あーん?どっからどう見てもテニスコートだろ。」
あれれ。おかしいなあ。私これから洋服屋さんへ行くんじゃなかったっけ?
なんでテニスコートいんの?あれ?あれれ?
「…洋服は、どこに?」
「部活が終わってからだ。まあ、とりあえずベンチに座れ」
跡部にそういわれたが、たまったもんじゃない。女子からの黄色い声援に、冷めたまなざしたち。いくら跡部のいとことはいえ、そうやって特別扱いされればどんなに私が跡部のいとこであっても嫌いだと思う人はいるんだろうな。
私の株価を下げないでくれ、跡部ェェ!
「おい、てめーら!集まれ!」
そういって跡部が集合をかけた。
その一言で、部員達がいっきに駆け寄ってくる。…うぉおお!200人もいれば、とんでもなく砂埃が!っていうか、こえぇ!
こんなところで部長してる跡部って凄い。
「お前らに紹介する。今日からこいつが氷帝のマネージャーだ。」
「………What?」
あれれ?あれ?何かおかしくね?
っていうか、私の承諾なしかよおおお!
200人の視線+女子の視線が私に突き刺さる。
あぁ…痛い。泣きたくなってくる。
っていうか、跡部さっきから私に言ってないことを好き勝手やるんですがどーすればいいですか。帰ったら右ストレートかな。
「(おい、花子、自己紹介しろ)」
「(だがしかし断る)」
「(アホか。てめぇ、俺様にしばかれる前に自己紹介しろ。)」
「(…うぅ。)えーっと…マネージャーになった、3年D組の田中花子です…。よろしくお願いします」
そういうと、一番に元気な声が私にふってきた。
「お!花子じゃん、なんだよマネージャーすんなら教えてくれてもよかったのに!」
「(急だから言えるわけないだろ。)あはは」
岳人が私に気づいて、私のところへよってくる。あぁ、女子の視線がすさまじい。私明日あたりには死んでるかもしれない。
「って、あれ?お前、朝の。」
「あ、宍戸。とその仲間達。」
「そのきしょい言い方やめろ。お前、マネージャーになったんだな、よろしく」
「はい、よろしく。」
そういって握手をすると、隣にいた長太郎もニッコリと微笑みながら手を差し出してくる。
「俺は鳳長太郎です。よろしくお願いします、田中先輩」
「あ…うん、よろしく」
そうやって、一人ひとりと握手をかわしていった。見たことがあるキャラ達に内心興奮している。慈郎とか慈郎とか慈郎とか、目輝かせて私に抱きついてきたからね!もう鼻血でるかと思った!
「……俺は、日吉若です。よろしくお願いします」
「(ぎゃあぁぁ日吉!)」
彼と握手すると、何故か彼は眉間に皺をよせた。
あれ?どうしたんだろ?もしかして手汗が酷かったとか?
「ど、どうしたの…?」
念のため、そう聞いた。何か怖いじゃん。
「……いえ、なんでも」
「?」
――そういうと、彼はそのままコートへと戻っていってしまう。何があったのか気になるんですけど。めちゃくちゃ。
「(あの腕にかいてある数字は…なんだ?)」
まるで刺青のように綺麗な発色をした数字がマネージャーの腕にはっきりとかかれていた。
"30"と。
…気にはなったが、今聞くことでもないだろう。俺はそう考えると、マネージャーからはなれてコートへと戻った。
「(…変わったマネージャーだ。)」
何が変わっているかは特に分からない。けれど、俺たちとは違うもの。――そういった目には見えない何かを、感じた。別次元というのだろうか。
…まあ、こんなのただの気のせいだろうが。
最近UFOについての本をよみすぎたせいだな。それか疲れか。どちらにしろ、早く跡部さんへの下剋上を果たす――。
絶対に。
「(さて、次は1年と試合だ。)」