登校初日
「えぇー、では…みなさん、生徒を…紹介、します…」
そういって教室の前で待機している私。
禿田先生はただでさえ幸薄そうでひ弱そうな外見しているのに、性格も暗くてなんだか外見のまんまだと思った。
けれど中身はしっかりして、いい先生なのかもしれない。
「田中花子さんです…、田中さん…はいってください」
「は…はい!」
禿田先生の指示もあり、私はがらっと教室をあけると大きな拍手をうけながら中へ入る。
ドキドキドキッ。
卵とかトマトとか投げられるんじゃないだろーか。
今朝の件もあったし、やばいなあ…。そんなことを思いながら入ったが、案外みんな私のことをすんなりと受け入れてくれたみたい。
「よっす!お前跡部のいとこなんだろ、よろしく!」
「(ぎゃー岳人じゃん。)よろしく」
なんてまともな人物と一緒なクラスになったんだろうか…!
よかったよかった、私本当に今のこのクラスでよかった…!
「えっと…自己紹介を、」
先生にそういわれ、私は壇の上にたつとクラスのみんなの顔を見渡しながら言った。
「転校してきた田中花子です。
よろしくおねがいします」
パチパチと沸き起こる拍手。
…このクラスでよかった!
今だから言えるけど、跡部のクラスじゃなくてよかった…!
「はは、席となりなんて奇遇だな」
席へ座ると、岳人がニコニコしながら話しかけてきた。
私運いい!岳人の隣とかめっちゃ運いい!
「そうだね、奇遇だね」
「俺の名前は向日岳人。岳人ってよんでくれてかまわねぇから!」
「(知ってるけどね。)私のことは花子ってよんでくれてかまわないから」
なんだか私、いけそうな気がしてきた…!
「(…この調子で友達もできたらいいのになあ)」
なんて溜め息をついたりもした。