ドガッ!
「あだ…?!」
「職員室はここだ。お前の組はD組だ、じゃーな。」
そういってテクテクと歩いていく跡部。おま…もうちょっと優しい教え方ってもんがあるだろーが。
少し不満に思いながら、ガラッと職員室の扉を開くと、
そこには何故か宍戸が立っていた。
うわ…!生宍戸!やばいやばいテニプリだ…!
なーんて興奮していると、宍戸がクルリと帽子のツバを整えてからこちらへ歩み寄ってくる。
かかかかっこいいけど、学校でも帽子着用なんだね!
外せばいいのに。
「……んぉ?見たことねぇ顔だな。」
そういって、こちらへ立ち止まると不思議そうに私をまじまじと見ている宍戸。
「コンニチワ。」
「――って、偉い片言だなオイッ!
大丈夫かお前…」
「いやはや大丈夫です。気にしないでください。」
そんなことを言っていると、後ろから元気な声が聞こえてくる。
「宍戸さーん!」
ピクッ。
この声ってもしかしてもしかすると…!
「よぉ、長太郎。」
「宍戸さん、あのですね――…って、誰ですかこの人?」
そういって長太郎はこりゃまた宍戸と同じように目を丸くさせて私を見る。可愛い。はぁはぁ、犬耳が見える。
「あぁ、今それをたずねてたところだ。見かけねぇ顔だからな。」
「あぁ、そうなんですか。」
「――っち、鳳。勝手に走ってくんじゃねぇ…」
そういって後ろからひょこんと現れたのは――。
幻のポケ●ンならぬ、幻の日吉なのでした。
「(ぎゃー!生日吉!日吉日吉日吉!可愛い、可愛すぎるぅ…!)」
テニプリを見ていて、何度越前VS日吉の試合の結末を変えたいと思ったか…!
当のご本人を前に一人興奮する私。あれ…?よく考えれば、今いつの話しくらいなんだろ?
まさか大会終わったとか…?宍戸も髪の毛切った後みたいだし、っていうことは滝がレギュラー落ちしてるんだよね…滝がレギュラーから外れたのもまた変えたいと思った運命だったり。
「誰だこいつ。」
「ちょ…日吉、口が悪いよ。もしかしたら年上かもしれないだろ?」
「そーだそーだ、年上なんだぞ。」
「「「………。」」」
おいおい、何だよお前らその目。年齢詐称してるみたいな顔してんじゃないぞ、ゴルァ。
「「「(年下かと思った…。)」」」
「それより、私は転校生。OK?」
「……転校生?何組だ?」
宍戸にそう聞かれて、
さっきの跡部の言葉を思い出す。
『お前の組はD組だ、じゃーな。』
「D組らしいです。」
「うわぁ…。」
「もしかして同じ組?!」
「隣の組。」
「一緒な組じゃないじゃん。
何だよ、期待させんなよ宍戸。」
「ははは、わりぃ……って、ん?何で俺の名前を?」
し ま っ た … !
やばい、変なところから汗でてきそう。
「――さっき鳳がデカイ声で名前よんでたからじゃないですか?」
「あぁ、なるほどなー。
俺の名前は宍戸亮、よろしくな!」
「あ…うん、よろしく。」
日吉の見事な助け(?)により何とか助かったらしい。
日吉ありがとう…!お前やっぱいいやつ…!
「そういえばD組の先生知ってるか?」
「いや…わかんない。」
「なら教えてやるよ、あそこに座ってる先生だぜ」
そういって宍戸が指をさしてくれる。
そこには幸が薄そうなハゲちらかったおっさんが座っていた。
「……ほぉー、あのハゲか。」
「お前失礼だな。まあ、ハゲならぬ名前も禿田(はげた)って苗字なんだけどな。」
へー、マジか!
「ありがと、宍戸。後他のかたがたも。」
「おう、どういたしまして」
宍戸の支えもあり、無事D組の先生も分かったところで私は彼らにお礼をいうと先生のところへ向かう。
あぁ…できるなら跡部と同じA組がよかった。
いや、でも跡部と同じクラスとか女子がうるさそうだしな。
誰がいるかよくわからないD組でよかったのかもしれない。
「(あー、ドキドキする。)」
とりあえず、跡部と宍戸とは違うクラスらしい。
誰と一緒になるんだろ、私。