どうしてこんなにも胸が熱くなるの?

どうしてどうして?




「――知らないうちに、なんで私が白石を好きになってんの…?」


あんなやつ、嫌いなはずなのに――。


大人しいとなんだか寂しいです(……気のせいでした!)




その後、ひとしきりトイレでなくと落ち着きを取り戻し私は次の授業にでることにした。


ガラッ。

――扉を開けると、
白石が女子に囲まれていた。

それはいつものことで…当たり前で…。



パチッ。

白石と目があったが、目をそらされた。

それだけでチクンと胸が痛む。

ズキズキッ。



「白石君、これあげるー!」

「えー、白石君とらないでよー!」

「白石君、そういえばねー」



むかむかっ。

胃につきささるような痛み。




「(なんで…なんでいっつも、)」




気がつけば私は女子の団体をかきわけて白石の前に立つ。


「――花子…?」

困ったような表情の白石の襟元をつかむと、ぐいっと上にあげていった。



「――白石なんて、大嫌い!嫌い嫌い嫌い…っ、
 私のことなんてちっとも好きじゃないくせに……っ」


何をいってるんだろ。

でも気持ちが止まらない。




「――白石のこと…好きだなんて思った自分がバカみたい…っ」


あぁ、これが本当の気持ちなんだ。
これが私の――。



「大嫌いっ!」

そう叫ぶと、私は力の限り白石をぶんなげた。

――ドガッ!


「ぐぇっ」

そういって、無様に机とともに倒れている白石。
…乙女の敵!くそ!
こんなにも好きにさせておいて…!



「変態白石なんて好きだ!」


そう叫ぶと私は教室を駆け出て行った。





「……おーおー、派手にやられたなあ。」

「…謙也みとらんと、手伝ってや」

「ん?まあ…俺が手伝うのは机のなおしぐらいだけやで」

「……っ」





「いってこいや、白石。
 お前…やっと恋が成就したんやで?
 ほんま、おもろいやっちゃ。おまえらふたり」


そういって謙也がケラケラ笑う。
――この謙也に笑われるってよっぽどなんやないやろか。




「……恩にきるで、謙也」

そういうと俺は花子の後を追った――。

.

..

...




「……はぁ、告白しちゃった。」

一人中庭で雑草むしりをする。
…あんなダイレクトな告白して、挙句には好きな人を背負い投げしちゃったし…。

あーぁ、しかも嫌い嫌い連発して…。



「……バカだな、私…っ」

もう少し…素直になれたら、
両思いだって可能だった?


そう考えるとボロボロ涙がこぼれ出てくる。


「……ぅ、ふぇ…っ」


「――花子!」


ふと、後ろからきこえてきたこえに肩がびくっとなる。
――振り向けない。

いや、振り向きたくない。だってこの声は…。



「……な、んで…?」


「……あんなダイレクトな告白しといて、今更なんやねんっ」


そういうと、後ろからぎゅっと抱きしめられた。
苦しい。
痛いよ、白石…。


「……嫌いっ」

「……俺は、好き」

「………っ」



何で白石は私がほしい言葉をくれるんだろう。

どうして白石は、私がいいたい言葉をずばずばと言えるんだろう。





「……しらい、しぃ…っ」


「おおー、よしよしよし。
 って泣きすぎやろ花子…。」

そういって優しく私の頭をなでる白石。
――胸がドキドキいうのも、
全部全部分かった気がするんだ。



「…白石が、好き…っ」

「……うん、」

「好きだから…苦しい…っ」





そういうと、白石は顔を真っ赤にして――。


「……や、やめぇや…そんなこと…いうなや…っ」

と珍しく慌てて視線をそらした。
――プレイボーイの白石でも、こんな表情…なるんだ…。



そう思うと、少しだけ胸が軽くなった気がした。






「……ねぇ、白石」


「……ん?」


「好き…っ」

「……しっとる。」


「でも、嫌い」

「って、なんでやねん!」


「だって――」


こんなにも胸をかきまわすくらいめちゃくちゃな思いさせるのは、白石ぐらいだもん。






「……やっぱなんでもない」


「……はぁー。
 でもそんな花子が俺は好きっ」


そういうと、白石の唇が私の唇に押し当てられていた――。






あぁ…ダメだ、胸がパンクしそ…っ。



「って、花子?!ちょ誰か、花子倒れてもうたあぁぁああぁぁ!」


遠くなる意識の中、
白石のそんな声だけが聞こえた。


「(……あぁ、幸せすぎる)」



.

..

...




「……ってわけで、何でお前意識うしなっとんねん。」

「……いや、それは…」

「……っぷ、まあええわ。」

そういうと、
白石が微笑みながら頭をなでなでしてくる。


……私は白石の顔を直視できず、視線をそらした。





「……なぁ、花子。好きっ」

「私は嫌いっ」

「でも、それは好きっていう証拠やろ…?」

そういって意地悪に笑う白石をチラ見して私は違う方向へと視線を落とす。





「……好き、だけど。」


「ほんまかわええやつ!」




そういうと、白石がまたぎゅっと私を抱きしめてきた。


「も…もういい加減にしてよ…!恥ずかしいじゃん!」

「いやーや」

「………っ、」

「………好きやで、花子」





そういうと、白石はそっと私の頬にキスを落としたのだった。







「(あ、そういえばさっき千歳と何話してたん?)」

「(白石と私について…?)」

「(……っは?)」



Fin.





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