「おーい、ウサギさーん、
 大丈夫かーい」

そういって私は倒れているユウジの体をゆすゆす揺さぶる。

あれれ…起きないぞ。



「……ユウジ、これやばいんじゃない?」

「……くっそー、起きろやこの馬鹿ウサギ!」

そういうと、ユウジは自分の体を
問答無用で蹴飛ばした。

うわあー…容赦ないなあ。


ウサギに好かれる



ピクッ。

ユウジが蹴飛ばしたことにより(?)、
ユウジに憑依したウサギがむくりと起き上がった。

「…な、なんや…やるんか、オラァッ」

「………」

うわぁ…ユウジ、
体の差を見ていえよ!

圧倒的にユウジに勝ち目なんてない。



ふらりふらふら。

ウサギは左へ右へと右往左往する。
あー…そっか、歩くことに慣れてないからかあ。



「大丈夫――?」

そういって私がすっと手を差し出すと――。



「っきゅーっ!」

そういって、ユウジ(ウサギ)が私の首元に思い切り腕を絡めて抱きついてきた。
ぎゃああぁぁあぁぁあ!
何か抱きついてきたああぁぁああぁぁ!


「わああぁああ!お前何さらしとんねん、
 今すぐそいつから離れーやっ!」

「ふぁぁ!ぁーぁー!」

そういって、
ウサギはウサギなりの抵抗をして見せた。

――が、
ユウジも引けをとらずに自分の体を引っ張って私から引き離そうとする。



「離れー!」

「あー、ぅー!」

「あーうーやないねん!ウサギが人間様なめとんなよっ」

「っしゃあああぁあぁ!」

ぎゃあぁぁああぁぁっ!噛んだ、こいつ俺の体なんに噛んだでえええ!」



…………。
どこから突っ込めばいいんだろうか。


うわぁ…何か2人のやり取り見てるの楽しいけど、
放っておいたら本格的に喧嘩しそうだし止めなくちゃなあ。



「2人とも喧嘩は――」


「一体何の騒ぎや」












「「「…………。」」」


あぁ、どうしてこんなバッドタイミングできましたかね。

白石さんよ。
めっちゃめんどくせぇ…!

この2匹(?)だけでもめんどくさいのに、
もう1匹増えると……。




「………きゅーきゅーっ」

「…………ちょ、しっつくなよ。」

「ぎゃああぁぁ!せやからやめえぇええぇい!」

白石を警戒したウサギが、
ユウジの体だということを知ってか知らずか怯えた表情で私にぎゅっと抱きついてくる。


うぅーむ…私、どうすればいいんですかね、これ。

あ、白石が変なもの見るような目でこっち見てるよ。
あれ…?ってか何か笑ってないですか…?




「……そっか。2人とも、幸せにな」


って、ちっがーう!

何勘違いしてんだお前…!
これ見てよく幸せにとかいえるな、おい…っ!




「白石!白石!」

「ん?………って、あ?え?」

「俺や!一氏や!」

「……っは?」

そういうと、
白石はウサギを見てから私のほうをみて『何がどうなっている』と助けを求めるような目つきをする。

……うわぁ、めんどくさい。
けど、この事態を説明しないわけにもいかないし。




「実はね――」





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