「――ってなわけで、わりぃなユウジ!」

「まあ、こんぐらいええって。
 …そんかわり、今度ラーメン奢れやな」

そういうと、俺の友達は俺ににこやかに手をふってさっていった。
…さて。

俺は今飼育委員の仕事を任されてもうた。

…っていうか、くさっ。
なんやこのプレハブ状態。

ウサギの糞は落ちとるし、
なんや…なんか鶏はコケコケうっさいし。



「……全部小春や、全部小春や…」

俺はそう呟きながら、
ゲージの掃除にかかった。


ウサギと体チェンジ?!


「って、やってれっかー!」

「あれ?ユウジじゃん。」

購買へいって、メロンパンを買った帰り道――。
…ユウジが何故か庭のゲージで1人騒いでいた。

あ、鶏とむれてるのか。



「(…おもしろっ。)」

なんだこの光景。
小春にも見せてあげたいけど今いないのが残念だなあ。




「ゆーうじっ」

「あ?あぁー…なんや、お前か。」

「なんやってなんじゃい。
 …それより何してんの?」

「見てわからんの?
 ウサギの糞掃除。

きたなっ。っていうか、ユウジもろ制服についてんじゃん、糞。」

そういうと、
ユウジは箒をもったまま慌てて制服を手ではらった。

…アホだなあ。

ってかどうやったらウサギの糞制服についたんだろ。
ズボンなら分かるんだけどね。



「…まあ、がんばりたまえ。ユウジ。」

「…なんやねん、お前。
 手伝ってけや」

「私はこれからお食事ー。
 じゃあね、」

そういって私が去ろうとした瞬間だった――。






ドタタタタッ!




「あ……っ!」

ゲージで一番いきのいい黒いウサギが、
勢いあまってユウジのおでこと思い切り頭をうってしまったのだ。




ドガッ!

「ちょ、大丈夫――?!」

ピクリと動かないユウジとウサギ。
っわー…!なんだこれ、なんだこの状況…!


「せ…先生にどう説明しようか。」

も…もしも万が一、
両方とも死んでたら私が悪い的な展開にならないよね…?!



「生きろぉぉおおおぉ!ウサギ生きろぉぉおおぉ!」

そういって私はウサギの体をゆすゆすとゆすった。



ピクッ。


あ、反応あり!


「っもー、ウサギ大丈夫かあ?
 こんな石頭をごっつんこしたら脳みそつぶれるよ?」

そういって私はウサギの両脇をつかんで上にあげる。

っわー…ふもふもしてる。
可愛いなあ、ウサギ。



「――おろせや。」

「………っは?」

えちょ…今ウサギが喋りませんでしたか?



「はよおろせ言うとるやろがーい!」

そういうと、
ウサギは私の顔面にウサキック(ウサギのキック)をかましてきた。


がは…?!

い、痛い…っ?!




「え、えちょ…なにが……、」

「…あーぁ。偉いことなってもうた…。」

そういうと、ウサギはピョンピョンはねて
ユウジのもとへ歩みよるとその周りを飛び跳ねながら喋る。



「……もしかして、ユウジ?」


「………………おんっ」


「……これ、って」




――俗にいう転換ってやつじゃ…?!







「……花子、どないしよ。
 俺…ウサギになってもうた。」

「………え、え、ユウジ…」

「どうやったら戻るんやろか…」




そういって、
うるうるとした瞳でこちらを見ているユウジ。

――しかし、
このポジションは上目遣いをしているようにしか見えない。




「ああぁぁああぁぁ!ユウジ可愛いよ、ユウジぃぃいいぃ!!」

ぎゃああぁああぁぁああああ!小春、小春ぅぅううぅう!」

思い切り抱きしめると、
ユウジは全身の毛を逆立てて抵抗する。

…ユウジがこんなに可愛いなんて!



人間のときなんてこれっぽっちもなんとも思わなかったけどね。




「………こは、るぅ…っ」

しばらくすればユウジも抵抗する気をなくしたのか、
全身の力をぬいてぐったりとした。

…お人形さんみたい。

っていうか喋るウサギって売れば高くつくよね。



「お前今卑しいこと考えたやろ。」

「え?」

「…思い切りにやけとったで。」

そういって、はぁっとユウジがため息をついた。
…どうやら私は欲が顔に浮かんでいたらしい。



「……まあ、それより…こいつ生きとるんかいや」


そういってユウジが自分の体のほうを眺めていた。




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