「………っぐぅー」

「(みんな、どうする?
 花子先生寝てもうたで!)」

「(って、おい!寝てどないすんねんっちゅー話しやんけ!)」

「(けど起こすのも酷な話じゃないっすか。)」

「(可哀想やし、そっとしておいてあげたら?)」

「(せやせや、小春がそういうとれんからそうしてあげぃ!)」

「(うぬぅ。)」

「(…花子先生めっちゃ爆睡しとるたいね。)」

「(ワイ花子先生と話したいんにー!)」

「(シーッ!こら、金ちゃん、ええこにしぃ!)」

「んん……っ、」

「「「「(やばい…?!)」」」」

「……ほら、金ちゃん…それはふんころがしだよ…食べ物じゃ、
 ないよ………」


「っぶ」

思わず笑いをこらえきれなかった謙也の頭を思い切りぶん殴った。

先生お疲れ様です



「いっだ――?!白石、何s「(シーッ!)」


「(……すまんすまん、つい喋ってもーた。)」

――ちらっと花子先生のほうを見てみるとぐっすり寝ていた。
…はてさて、今の時間は音楽なのだが、
今日は音楽鑑賞とかでテレビを見るだけなのだ。

…が、肝心の花子先生は音楽聴いて寝てしまっとる。


あーぁ…どんだけ疲れとんねん。



「(ほんま…いつもお疲れやで)」

俺が花子先生のところへ歩み寄って髪の毛に指を絡めると、
さらりとすり抜けていく。

あぁー…たまらんわ。


ボコッ!

「(あだー?!)」

「(何しとるばいね。…あ、これ……この間のテストの丸つけちゅうたい。)」

「(あ、ほんまや。しかも謙也のやん)」

「(まさかの俺――?!何点や何点?!)」

「(…まだ採点中ばいね。
 けど、今んとこ…丸の数は4個しかないばい。)」

「(ガーンッ!)」


「(あ、それより俺らでなんかしてやらん?)」

「(なんやなんやー!何するん、白石?!)」

「(まあまあ、落ち着きぃ。…普段言えんことを、
 メッセージにしてかこうや。)」

そういうと、
どこからか白石はボールペンと白紙を取り出す。



「(…なんやそれっ。
 まあ、音楽鑑賞よりかはマシやなー)」



.

..

...



「っは!ここはどこ、私は誰?!

「……何ねぼけとるんですか。
 寝言は寝ていってくださいっていっても、
 寝てからも随分いってましたけど。」

そういうと、
財前が私のおでこにデコピンして音楽室をでていく。

あぁー…。

授業中に寝てしまうなんて教師失格だ。
…あの子達、ちゃんと音楽鑑賞してたのかな?

そんなことを思っていると、
一枚のプリントが置かれていた。


「(ん?なんだろ、これ。)」

そう思いめくってみると、
いろんなメッセージがずらりとかかれていた。




いつもお疲れさん。
これからも頑張りな、俺らの先生。 BY.白石


俺いつになったら反省文から解放されるん?
まあ、花子先生が俺のこと愛しとるから反省文ばっかかかしてくるっておもっとくわ! BY.忍足


「えぇ…あの子達、
 何してんだ…。」


何々。まだいろいろかいてあるぞ。

ゼンザイ食べたい。 BY.財前


たこ焼き〜! BY.遠山


花子先生、いつもお疲れさん。
あんまり無茶はいかんとよ。 BY.千歳


花子ちゃん、らぁ〜ぶ! BY.小春


↑浮気か死なすど! BY.一氏


花子さんは最高の先生ですわ。 BY.石田


俺影だいぶ薄いけど、
先生は気がついてくれるから本当嬉しいで。 BY.小石川





「………アホだ、こいつら。」

そんなことを思いながら、
私はその紙を大切に大切に折り曲げるとポケットにしまいこんだ。


――私の生徒は、
自慢できるやつらばっかり。



「(でもぶっちゃけ財前と遠山のは、
 食べたいものいってるだけだよね。)」

食い意地ばっかりはってんなぁ。
まぁ、これもいつものことだからいいんだけどね。





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