私はどこでどう道を間違えたのだろうか。

はたまた、この状況は一体――。


『おい、観念して俺のマルガリーテを返せ!』

なんで…。

何で学校にヘリコプターがきてるの?

氷帝が乗り込んできました


マルガリーテはというと、
ヘリコプターに乗っている主――。

まさに俺様的な顔をした泣きボクロを発見すると、
尻尾をふってワンワン!と吼える。


――っていうか、今朝礼中だよ。
外にヘリコプターって何?


『おい、ここでおろせ』

『っは!』

そんな声とともに、
ヘリコプターは下に着陸。

……なんだ、アイツ1人でやってくるつもりか?
っていうか、もしかして…このマルガリーテの飼い主なんだよね。

……なんだろ。
悪いことしてないのにこの罪悪感…。



『っぶは!宍戸むさくるしいC〜!』

『んな――?!んなこといったって、
 俺は忍足にだけはくっつきたくねぇんだよ!』

『お前ら失礼やな。』

ヘリコプターの中から、
ぎゅうぎゅうづめになって現れてきたのはさっきの強気な男の子と似たような子たちばっかり。

……えーっと、ひーふーみー…。

って、たくさんいるじゃん!
っていうかこの子たち学校どうしたんだよ、
普通に制服だけどさ…!


「……あかん。」

そういって、謙也が窓の外を見てそう呟いた。


「何が?」

「……侑士や!侑士来てもうたあぁぁぁああぁ!」

「……侑士?」

あ、そういえば!
さっきの会話で忍足って――。



「……俺のいとこや。」

「へぇーいとこかあ。あのめがね君ね…。」

そのめがね君は学校に入ってくる途中だし。



「――おい、会話中悪いが俺様のマルガリーテを返してもらおうか!」

「ワンワンッ!」

そういうと、マルガリーテは元の飼い主とおもわれる人物のところへ駆けていくが――。

ぴたっと立ち止まり、こちらを振り向く。


「くぅーん……。」

「……マーガリン。」

「マーガネット……。」


白石…忍足……。
2人ともばっちり名前間違えてるし…。

マルガリーテって何回言いましたか、私。
彼らは聞く耳ないんですかね。


「ワンワンっ!」

ダダダダダッ!


「って、何でまた俺のところ戻ってくるんやぁぁぁああぁぁあ!
 帰れええぇぇぇええぇぇ!」

マルガリーテは、
散々ユウジの顔をなめまわすと今度は私のところへきてペロリと頬をなめてから飼い主のところへと戻っていく。

……マルガリーテ。


「……ふん。いくぞ、マルガリーテ」

「ワンッ!」

「って、ちょっと待ちぃ。跡部」

――あ。
忍足のいとことかいう人だ。眼鏡だ。


「……久しぶりやな、謙也」

「侑士やんけ。あ、お前東京臭でとるで」

「なんやそれ。くさそうやんけ」

……そういって、
意味深な会話で盛り上がっている2人。

あ、その隣にいるおかっぱの赤い髪の子可愛い。



「くっそくそ、四天宝寺ってちっちぇ学校だな!」

「向日さん。それは失礼ですよ」

あ、おかっぱまだいたのか。
――これはキノコヘアーっていったほうがいいのかな。


「……ったく、それにしてもあちぃなあ。
 冷房ついてねぇとか…」

「宍戸さん、氷帝と一緒にしちゃいけませんよ。
 …これが普通なんです」

「うぉー!お姉さんだ、お姉さんだー!」

そういって、金髪の可愛らしい子が私を指差して喜んでいる。
…お姉さんって。
まあ、お前のお姉さんじゃないんだけどね。


タッタッタッタッタッ

ボスッ!


ぎゃあっぁぁああぁぁっぁああ!

「わーい、お姉さんだC〜!」

お姉さんの何が嬉しいのか知らないが、
金髪の子は私のところへくると正面から抱きついてきた。

…っていうか、胸!
ない乳があんたの頭にあるんだよ、ちきしょー!


ガシッ。


「……花子先生に触んなや。」

そういって、金髪の男の子の腕をつかんだのは一氏だった。


「……何、きみぃー。
 もしかして、お姉さんのこと好きだとかぁ?」

「どついたろか!
 アホ、これ以上抱きついたらない乳が更になくなるいうとるんや!

あぁ、そうでしたか。
なんだ、ちょっとでも感動した自分が馬鹿だった。


「ええー、そんなこというとか酷いC…!
 確かに胸がないかもしれないけど、」

「(こいつらしばきたい。)」

「でもそんなの関係ないC!
 ね、花子せんせー?」

「あぁぁぁああ、花子先生に抱きついていいのは俺だけなんにー!」

そういって、遠山がうらめしそうにこっちを見ている。


「――って、おい。いい加減にしろ、慈郎」

「うわ、何すんだよ跡部ー!樺地ー!」

「これ以上迷惑かけんじゃねぇ。」

そういって、跡部…とかいう人物が樺地とかいう人物に合図をだすと、
慈郎とかいう子は樺地とかいう子の肩にのっけられていってしまった。


……ふぅ。危なかった。


「……おい、お前がマルガリーテを助けてくれたのか。」

「え?ま、まぁ…。」

「……ふん。恩にきるぜ」

そういうと――。
跡部とかいう子はどこからともなく封筒をだすと私に渡してきた。


「これが礼だ」


???
なんだろ?

そう思い、中を開けてみる――。



パサパサパサッ。


「ひゃ…!」

「「「「「「百万円?!」」」」」」


一同唖然。
犬の面倒少し見ただけで百万円って…!

っていうか、
中学生じゃないのかよお前ら…!

あーやだやだ、
これ不良以上の問題だっつーの。


「……いらない。」

私はそういうと、跡部とかいう少年に封筒をそのまま返す。


「あー、花子勿体無いことすんなやあ…」

「いやいやいやもらえるわけないじゃんか。」

そういうと白石は、微笑みながら「まぁお前らしいな」って言ってくれた。




「……あーん?もらえねぇだと?」

「いや、だって大金じゃん。いらないし」

「俺様からの礼だっていってんだろーが。受け取れ。」

「いらない。」

「受け取れ。」

「いらない。」

「受け取れ。」

「いらない。」

「…………お前、強情だな。」

「いや、そっちのが強情だと思うけど」

そういうと、跡部とかいう子は
ふっと鼻で笑うと私のもとへ歩み寄ってくる。



「……気に入ったぜ、お前。名前は?」

「……田中、花子……」

「花子だな。――気に入ったぜ、花子」

そういうと――。
跡部はちゅっと私のおでこにキスをした。



「ぎゃあぁぁぁああぁぁ!嫁入り前の子に何さらしとんじゃ我えぇぇぇえええぇ!
 ちょっとえぇ男やと思ったけど許せへん!」

「せやせや!目の前でいちゃつくなっちゅー話しや!」

「腹減った。」

「ワイも〜」

「じゃあ今日のおやつはたこ焼きにするか」

後半の会話おかしい。
財前の「腹減った。」から一気に流れおかしくなったし…。

あー、もういいよ。

まあ、君達が私のことをとりあうような連中だとは思いはしなかったけどさ。





「………花子、かあ。
 お前この学校の先生か?」

「え…あぁ、まぁ。」

「……氷帝にこねぇか?」

跡部のその発言に、
さすがに一同が跡部のほうを向いた。




「花子ちゃんはあげないわよ!」

そういって、
金色が私を抱きしめてきた。

「――せやで。
 こんなんでも俺たちの担任やしな!」

「……白石。」

こんなんって、ちょ…。


「花子はいい先生ばいね。
 ばってん、そげんところに簡単にやれんきに」

そういって、千歳が私の頭をぽんぽんと叩いた。


「せやせやー!
 小春がいやがっとれんからお前らにはやらん!」

……ユウジ。
おま…金色が嫌がらなかったら私をあげる気だったのか。


「花子先生はワイのたこ焼き作る係りやからあげん!」

「…………。」

「……花子先生は、」

そういって財前が私のほうを見た。


「……花子先生は俺らの大事な人なんやから
 あげることはできませんわ。

 お引取り下さい、先輩方」



………なんだ、なんだよお前達。

なんだよ……。



「――って、なんで花子先生泣いとんねん」

「…っ、うるさ、忍足。
 感動してるんだよ……っ」

こんな私でも、
…たとえどんなにどうでもいい理由だとしても
必要とされていたなんて。



「……跡部。」

「……あぁ、分かってる。」

そういうと、跡部とかいう人物はくるりと後ろをむいた。


「……お前が四天宝寺からいらなくなったら、
 いつでも引き取りにきてやる。

 ――覚悟しろ。」


そういうと、彼らは…氷帝は帰っていってしまった。



「(……なんだったんだろ、彼ら。)」

まあ、マルガリーテとお別れは寂しいけど
何か…みんなが自分を必要としてくれていて嬉しかったり。




「……みんな、ありがとね。」

そういうと、
財前が鼻でふっと笑った。



「……花子先生は、こんなんでも
 一応俺らの教師なんすから。
 もっとしゃきっとしてくださいよ、先生っ」



「………うんっ!」



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