「花子せんせ〜!」

「――うぁっ?!」

気がつけば、
後ろから遠山が私の腰に抱きついていた。

少年Tとたこ焼き


「たこ焼き!たこ焼き食べたい!」

「――知らんがな。
 白石に頼めばいいじゃん。」

「白石やったらあかんのー!
 ワイは、花子先生のたこ焼きが食べたいねん!」

え、え、えええええ!

って、私にたこ焼きを作れとぉぉおおお?!


「……いやいや、たこ焼きなんt「あかんの?」いや…いけないっていうかさ、
 そのーなんていうk「花子先生…」……………。」

そんなチワワみたいな顔しても、
たこ焼きつくりたくないもん!

「いやああぁあぁぁあ!離せ、離してえぇぇぇえええぇえ!」

「絶対離さへんもんっ、たこ焼きつーくーってー!」

アホか!
っていうか、どんだけ抵抗しても遠山が腰から離れるような気配はない。

……はぁ。


「……分かった。
 じゃあ、たこ焼き買ってあげるから」

「嫌。」

「何故――?!」

「せやから、ワイは…花子先生のたこ焼きが……っ」

「わわわわわ分かったって!だからそんな涙目にならないでって――!」

私が悪いみたいじゃん!
…卑怯だ、この遠山は。可愛さを利用しやがって、不埒な!


「ほんまあ?やったあ、ワイ花子先生好きー!」

「(……めんどくせぇ。)あはは」

くそ〜、なんでこんなことになってるんだよぉ…!


「じゃあ、部活終わるまでにつくっといてな!
 ワイは今から部活行くわ〜!」

「あ!ちょ、おま――」

止める間もなくどこかへ走り去っていってしまった。


……マジでつくれと?

「(…アホか。)」

でも自分のいったことには、
責任を持たなくちゃいけないしなあ。


「(頑張るか…。)」

.

..

...


「っぎゃー!たこが蒸発してるぅぅううう?!」

家庭室でこっそりとたこ焼きをつくっているのだが、
作り方をみてやってみてもなかなかうまくいかない。

あぁー…ちょっと黒くこげちゃった。


「(やっちまった…けど遠山だしいっか。)」

できたたこ焼きをお皿にのせていき、
こってりとソースをのせてマヨネーズと青海苔、かつおぶしなどをかけて
完成させた。

うわぁ…本当こってりしてる。


…ためしに、たべてみるか。

ひょいっとすくってパクッと食べてみると――。



「……あれ?おいしいじゃん」

思ってたより全然美味しい…っていうか、マジでうまいんですけど。


「うわ、私天才。遠山も顔負けだね!」

「ワイがなんやってー?」

「うわぁぁぁああぁぁ!……って、遠山か。
 はい、たこ焼きできたよー」

そういってたこ焼きを見せると、
パアアァァッと顔を輝かせる遠山。


「……食べて、ええの?!」

「うん、っていうかあんたのために作ったんだし。」

「やったー!花子先生大好きー、
 ほんまあんがとー!」

そういって、一口でたこ焼きを食べてしまう遠山。
あ…。
それ、まだ焼きたてなのに――。


「ふぁふ…!あふあふ!」

「あぁぁ、はい、水水」

ゴクゴクッ。


「ぷはー!めっちゃうまいでこのたこ焼きー!」

そういって、遠山がニッコリと笑った。
まあ…その笑顔が見られるなら、
別につくってあげても悪い気はしない。


「花子先生、これからもワイのためにたこ焼きつくってな!」

嫌です。

「えー、なんでーや?!」



だって、めんどくさいもん。




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