コソコソ。

……よし、誰も視聴覚室におらんばいね。

俺はDVDの機械にもの●け姫をいれるとイスに深くこしかけた。

少年Cとジブリ映画



コンコンッ。

映画を見ていると、
ふいに視聴覚室をノックする音が――。

や、やばい!今授業中なんに、
一体誰が…?!

いや、それより隠れんなんいけんたい…!

そう思い行動に移そうとしたのだが時すでに遅し。




ガチャッ。


「失礼しまー…って、っは?え?」

「……花子先生かいね」

俺は大きくため息をつくとまたイスに深く腰かけた。



「え、なんであんたもの●け姫見てんの?」

「いかんと?」

いけないにきまってんじゃん。
 今授業中だよー?」

とかいいながら、千歳の横に座って一緒にもの●け姫の鑑賞を始めたり。
…うわー、懐かしいなぁ。

この犬!白い大きなわんちゃん!

さわりてぇ…!


「花子先生はジブリ好きとね?」

「うん、好きだよ。千歳は?」

「ばってん、好きたい。
 この独特の世界観がたまらんたいね」

……そんな他愛もない会話をしながらテレビを見ていると、
いつの間にかクライマックス。


「………グスンッ」

「(えー?!千歳なんで泣いてんのー?!)」

ごめん、誰か千歳泣いてるわけを教えてくれ。
…どこ?一体どこで泣いたの?!


「……花子先生は、よく泣かずにみられるばいね」

「……いや、まあ…千歳は涙もろいんだね」

「よく言われるたい。…けど、何度見ても感動ものたいね」

「………そ、そっか。」


これ…どうしよう。
でも、千歳の以外な面を見られたかも!

いつも大きな身長でずしんと構えてるから、
怖くて話しかけられずにいたんだよね。

なーんだ、話してみたら全然いいやつじゃん。




「……そういえば、花子先生はなんで視聴覚室に?」

「あ?あぁー!
 そうそう、職員室だと思ったらここだったんだよね!

迷子たいね。

「人はそう呼ぶかな。」

……そう、私は迷子!
迷子になったのさ!


「……はぁ、花子先生案内したるばい」

「………マジ?ありがと、千歳」

「あはは。」

千歳は映画をぶちんと消すと、
私の足の速度に合わせてゆっくり歩きながら職員室に向かってくれる。

――なんていい生徒なんだ!


「で、あんたいい加減授業戻りなよ」

「花子先生はいい加減場所を覚えることたいね」

「うっさいわ!」

そういって、ばしんと背中を叩く。
あ、いい音した。


「〜〜っ、痛…っ、こ、ここが職員室たい」

「あはは。まあ…千歳が泣き虫だってこと知れてよかった。
 じゃあまたねー」

「な…!何をいっとるたいね!」

あははと笑いながら花子先生は職員室へと消えていった。
…変な先生ばいね。

俺らの視点に立って…話してくれるなんて。



「……花子…先生、かぁ。」

思わず呟いた名前に首をぶんぶんと横にふった。

「な…何をいっとるたいね、俺!」


あぁー、乙女ばいね、こんなんじゃ!

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