「せんせー、彼氏おりますかー!」

そういって、謙也が手をあげて聞いた。
なんやあいつ、妙に積極的やん。

「いません。はい、次質問あるー?」

「はいはい!先生のこと花子ちゃんってよんでもええかしらん?

「誰が花子ちゃんじゃい。
 …まあ、おもしろいからヨシ!」

って、ええんかい!
なんやこの教師、今まで見た中でも郡をぬいてやるやないか…。



「せんせー、俺何色のバンダナ似合うと思うー?」

「ベージュ。はい、次ー」


うわぁ…話しむっちゃ綺麗に受け流したし!
す…凄いで、この担任!


「(なんや、顔はいまいちやけど性格はよさそうやん。)」


不良に囲まれてます



――教師として
この高校へきたはいいが――…。

まさか受け持つことになったのは、
あの不良で有名なクラスの3−Aとはね!

もうドキドキしてさ、
しっかりしなくちゃ…!

思ってた初っ端から迷子ってどうよ。


――困っている私に声をかけてくれたのは、
財前っていう少年だった。

『…っは、あんた先生なん?
 先生やと思えん』

『え、それ貶してんの?褒めてんの?』

『褒めってことで。』


…まぁ、そんなことで私は無事3−Aにつきました。
よっしゃ、きたああぁぁあ!

と思ったはいいが、
どうしよう。

不良ばっかで先生涙目。


「(…赤い髪の少年に、銀髪の少年に金髪に…っは、緑色の髪?!なんじゃこりゃ!)」

ちょ…個性豊かすぎだろ!

さっきの財前っていう子だって、
耳にたくさんピアス開けてるし…。

私、不良に囲まれてます。ママン。


「(――汗やば、だらだら。)」

……とりあえず昨日の夜3時間くらい徹夜して考えた自己紹介が、
見事ぼろくそに滑り、

仕方なしに質問タイムをとっている。


…って、どーでもいいことばっか聞かれるんだけど。

しかも、
私のことじゃなくて自分のことを聞いてくるやつとかいるしね。

バンダナの色とか知るか、ヴォケッ!



「花子せんせー」

「……はい、何でしょう。包帯君。」

「包帯君やないし、白石やけど」

「……はい、包帯君。なんでしょう。」

人の話しきいとらんやろ。――まあええわ、
 それより先生彼氏作る気とかあるん?」

「それを聞いてどうする。」

「いや…ええやん、きかせてーや」

そういって、白石とかいう少年がニヤリと笑った。
…なんだこの色気。
その包帯の意味も分からないし。


「作る気なんてないし。私教師だからね」

「ふーん…教師に見えん若さやん」

やっぱ?君分かってるね、私まだ現役ピチピチだからね!」

「あ、花子先生の腕ぶにぶに」

「って、何故に財前腕触ってんだあぁぁぁあ!
 いつの間に?!いつさわれたの――?!」


初日からこんなんで大丈夫なんだろうか、私。


……でも、まぁ、
不良ばっかりだけど…性格は悪くないみたいだしね。



「(よっしゃ、頑張っていこう!私!)」


これからよろしくね、みんな!






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