――あのハプニング騒動が起きて、
気がつけば新学期が始まる。

…結局あの映像はどこかのバラエティー番組に
採用されて1位をとったらしい。
それと、たくさんの「感動した!」という声も視聴者からあがったそうだ。

ううーん…っていっても、騙されてたもんなあ。
あんなんでいいのかなあ。


『田中先生、やったですなぁ。』

ハゲ校長にそういわれた時は、正直髪の毛むしってやろうかって思ったけど…。
……こんなのも、悪くない。


賞金に100万円が当たったらしいが、
学校に寄付されるそうだ。

サッカーボールとか公共のものに使うらしい。


まあ…一件落着なのかな。

その後の私達




ガラッ。


「おっはyベチャッ。



豪快に扉をあけてみんなに挨拶をした瞬間に顔面に何かがべちゃっとくっついた。
――その瞬間にその場にいた誰もが息を呑んだ。



「ぁ…あ、あ、花子先生……?」

「………忍足またお前かああぁぁあぁぁ!

『ぎゃあぁぁ!』といいながら猛ダッシュで逃げる忍足。
あいつ…!新学期早々からやりやがって!

っていうか、すっぱ…!

これってもしかしてもしかしてもしかすると、


「まさかのトマト…?」

髪の毛からポタポタと落ちるトマト汁。
――…何でアイツトマトなんか持ってんだ。

っていうかなんで投げてんだ。



新学期早々反省文かな、これ。


「あー…花子先生、これ使ってください。」

「あ…ありがと、」

気がきく財前がすかさず私にハンカチを渡してくれた。
財前なんていい子…!



「……トマトでキャッチボールしてすんませんっした」

「……っは?キャッチボール?」

「いや…謙也さんが、学校で栽培されてるトマト見つけてちぎって食べたはいいけどかなりすっぱかったらしくって…そんで、キャッチボールして遊んでたら花子先生がきたんですわ。」


「……うわぁ、私運悪すぎだろ」


そういいながら顔についたトマトを全部拭った。
…めっちゃトマトのにおいする。

忍足め、覚えてろよ。



「あ、花子先生ワイ席替えしたーい!」

「お、いいやん。
 俺も席替えしたいわ」

そういう遠山と白石。
うーん…そうだなあ、せめて席替えぐらいはしてあげてもいいかな。



「うーん…じゃあ、この後のLHでやろっか。」


「わーい!よっしゃあ、ど真ん中の一番前はワイが貰った!」

「金ちゃんは花子先生の近くがよかばいねぇ。」

「……ううーん。
 まあ…それは個人の運次第だから頑張ってね、うん。」



そうして予鈴の鐘が鳴った――。


.

..

...



何で俺なんやああぁあぁぁあぁぁ!

「だってクジだもん。仕方ないじゃん。
 …ってことで、ほら一氏さっさと座れー!」

そういうと、
嫌そうな顔をする一氏が一番前のど真ん中に座った。
その隣には金色がいるし(さすがラブルス)、
そのほかのメンバーもどちらかといえば
半分の前の席になった…が。


が。


約一人が一番後ろの端っこの席になってしまったのだ。



「……千歳。前来る?」

「いや、俺はここでいいたいね」

いやいやいや。
お前がよくてもこっちがよくないんだよ…!

授業中よく寝て反省文かかされてるやつが、
何言ってんだか…。


「ここは見晴らしがいいたいね。
 ばってん、みんなの授業態度を見て俺も見習うとするかね」

とか言って寝る気でしょ。

「は…ははは。花子先生は勘が鋭いたいね」


まあ…伊達に先生やってませんから。























そんなこんなで、席替えもしたわけで、
今日から新しい幕開けというわけだ。



「…みんな、今更だけど田中花子です。
 今年も1年よろしくね!」


みんなの卒業式を見るっていう夢が叶って本当に嬉しくて仕方がないんだ。




「花子ちゃん、よろしくね〜!」

「…ほんまうっとい思うけどそれがお前やもんな。」

金色…一氏……。

「花子せんせ〜!ワイたこ焼きたべたーい!」

「俺はゼンザイがええなあ。」

遠山…財前…。


「ふぅ…クーラーを学校に設置するべきじゃなかとや」

「まあ学校の金銭的なあれでできんっちゅー話しやないん?」

「あはは。そうみたいやな」

千歳…忍足、白石……。



一体どこから私と関連のない話しになったんだ。
(遠山とか財前辺りだった気が…)




「あ、花子せんせー」

「ん?」

そういって白石のほうを見ると――。







「……俺らからの、気持ちや。受け取り。」

そういうと、
両手いっぱいの薔薇の花束を受け取った。

わわわ…!独特のいいにおいがする…!



「……みんな、ありがとう」



そういうと――。


四天宝寺のみんながニコニコしながらいった。








「「「「「「「花子先生1年よろしくなー!」」」」」」」







fin.


- 21 -


[*前] | [次#]
ページ:




「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -