「白石、白石ぃぃい!」

「んぉ?なんや、ユウジ。」

「って、お前ら何呑気にゼンザイ食うてんねん!
 花子がさらわれたで――!」

一氏がそういうと、
一同全員が目を丸めた。


「な、なんやてえぇぇええぇえ!」

白石を筆頭に、ばんっと机を叩いて起き上がる男達。



「俺らの…俺らの下僕持っていきよって!立海に殴りこみやー!」

「「「「「おーっ!」」」」」

「(……下僕って、なんやねん。)」

立海に殴り込みです


「仁王君!ああああ、あなたって人はあぁあぁあ!」

「別にいいじゃろ。
 ――拾ってきたものは仕方ないぜよ」

そういって、銀髪の少年が変装した銀髪の少年の襟をつかんで慌てた様子だった。
あー、これじゃあどっちがどっちかなんて
もう分からないんだけど。

っていうか、なんだよこの仮装大会…。


「おっ、柳生じゃん!お前今日遅かったなー!」

そういって、赤い髪の少年が私の背中をばんっと思い切り叩いた。


「あでっ!」


「………あで?え?」

そういって、不思議そうに私の顔をじっとみる赤い髪の人。
え、えーっと…そうだ!
困ったときの対処法!

アデュー!!!

「………おい、仁王。これは一体――」

「俺はこっちぜよ」

そういうと、
赤い髪の男の子がいろんな方角をみて困ったように首をかしげた。

「……おいおい、誰が誰だか説明しろ」


.

..

...

話しの結論から分かったことは、
私→柳生
仁王→クラスメイトの不登校
柳生→仁王

といった感じで変装していたらしい。

…本物の柳生さんって、本当に清潔感があるっていうかなんていうか。


「仁王君。……彼女をどこで?」

「駅でじゃ。ひよこが1匹おったから、思わず。」

「あああぁぁあなたって人はあ!
 ――私が出席日数減らして変装してあげたのに、
 それだけじゃこりずにやってくれましたね…!」

話しをきくには、
柳生?とかいうほうは弱みを握られているらしく、
どうやら仁王というほうにばけて授業を受けていたらしい。

…ううーん、それが通用するって…。


「…っていうか、仁王とかいうほうはなんで授業途中から?」

「暑いからちょっと遅めに来ただけじゃ。」

「「「………。」」」

3人してあきれ返る。
えちょ――そんなためだけに、柳生とかいうほうに変装してもらってたのかよ!

っていうか、柳生っていうほうの出席が減ったことが可哀想だなって思った。



「……そういえば…花子さん、でしたっけ?」

「え?あ、あぁはい」

「…うちの仁王君がすみませんでした。
 なんとお詫びをしたらよろしいか……」

「いやいや…!そんな滅相もない!」

「そうじゃ柳生。これぐらい滅相もない」

「「「お前は黙ってろ。」」」

そんなことを廊下で繰り広げていると、
誰かがこっちに歩み寄ってきた。


「…やぁ、君達。どうしたんだい?」

「……幸村君」

「柳生、そのまんまじゃなか」

「ふふっ、仁王。
 俺が君達の変装に騙されると思ったの?

 それに――そっちは女の子だね」

そういうと、ニッコリと微笑んでいる天使様がこちらを見た。
…………っ!

なんだこの人。
腹黒そう…。

「今俺のこと腹黒そうって思ったでしょ?」

すみませんでした。

どうやら読心術を使えるらしいです。
…こわっ!本音心にすらいえないし!


「……えーっと、君名前は?」

「あ…田中花子です。」

「花子ちゃんね。」

「(これでも花子ちゃんって言われる歳じゃないんだけどなあ…)あ、はい」

むしろ私が年上なのに――まぁいっか。
金色で随分慣れちゃったからね。


「――あ!先輩達じゃないっすかあ!」

そういうと、廊下の向こう側から髪の毛もじゃもじゃな子がこちらへ走ってくる。
うわぁ…!なんだこの子!

性格悪そう!
っていうか、立海って今のところまともな人柳生っていう人しかいなくね!


「何でこんな勢ぞろいしてるんすか?
 まあ、若干一名違う人がいますけど!」

「(ドキッ!)」

「……赤也。そういうのは口をつつしまなきゃ…。」

そういうと、
幸村とかいう人がニッコリ微笑んでこっちを見てきた。

(不登校の人に扮装した)仁王までこっちを見てにやっと笑っている。



危ない危ない…てっきり自分のことかと。


「んまっ、俺はこれ返しにきたんすよ!
 はい、柳生先輩」

「………え?」

あ!やばい、つい地声が……!


「………?あれ、柳生先輩、声が――」

「ゴホッゴッホゴホ……ッ」

「赤也。柳生は今風邪をひいとるから、喋らせんほうがいい。」


そういって、
すかさず(仁王に扮装した)柳生がフォローしてくれた。
ナイス!ナイスだ!


「ま…まぁ、はい。これ借りてた辞書です」

そういって私は分厚い辞書を渡される。
っふー…正体がばれるかと思ったよ、あはh「頼もぉぉおおおぉぉおおおぉ!

「……………。」

あぁ、最悪だ。
何故…何故きたんだお前達ぃぃいい!!


「あれ?この人たちって、四天宝寺の――」

「せや!俺らが四天宝寺中や!
 ちなみに俺は白石蔵ノ介や!」

何故自己紹介した…。
白石、おまえ…。

「――お前ら、何事だ!この騒ぎは!」

「あ、真田副部長!」

そういってでてきたのはものごっついゴリラみたいな人。
うわ…神経質さが顔にまで滲みでてんじゃん。

関わりたくないなぁ…こういう人は。


「お、真田君やん。丁度ええわ、
 俺らの先生返してもらおうか。」

「………先生、だと?
 何を言っている。」

「せやから、田中花子先生や。
 ――そこの詐欺師が連れてったんや!」
そういうと、ビシッと白石が(仁王に扮装した)柳生を指さした。
……柳生。どんまい。

っていうか、これ…私でていっていいの?
いつ喋ればいいの?



「ぷ……ップリ」

「仁王!また貴様かああぁぁあぁぁ!」

そういうと、ゴリラが思い切り腕をふりあげて柳生の顔にビンタした。

あぁぁあぁぁぁ!凄い痛そうな音が…。
ってか、柳生!変装とけてる!

「って、何…?何故柳生が――」

「……っ、痛いじゃないですか、真田君…。
 それより仁王君。もう遊びは終わりにしましょう。」

そういうと、仁王も首を横にふって「あーぁ」とかいいながら変装をといた。
…っていうことは、私も変装といていいっていうことだよね。


「って、あぁぁぁあぁぁ!花子先生やー!
 先生、せんせーっ!」

「ぎゃあぁぁぁああ!遠山なんじゃいぃぃいいい!」

遠山は正面から私のことを思い切り抱きしめてきた。
…なんだろ。
なんだか、ほっとした気持ちだ。


「……花子先生、事情説明しぃや」

そういって、一氏が立海のメンバーたちを睨みながらそういう。


「あー…えっとね、」

.

..

...



「……っていうわけです。てへっ」

お前いっぺん川に流したろか。

事情を最初から最後まで説明すると、
白石が呆れたような表情をした。

…そうだよね。
電車乗り過ごしたら(柳生に扮装した)仁王に出会って、
そのまま変装させられて、立海に連れ去られたからね。

あははっ。


「――帰るで、花子」

そういって白石が私の腕をつかんだ時だった。



パシッ。

「……………。」

「……えちょ、何してんの、仁王……。」

左腕は白石が、
右腕は仁王が引っ張る形に。

…なんだこれ。

っていうか、銀髪に挟まれて私浮いてるんだけど。あ、やだなあ、今すぐ抜け出したい。


「……仁王君、悪ふざけがすぎるで」

「…拾い物を易々返すことなどできんたちでな。」

そういうと、
仁王が思い切り腕をひっぱった。

その瞬間白石の腕からすっとすり抜けて、
私は仁王にぎゅっと抱きしめられる。



「ちょ、何しと「おいお前らー。他校生つれてきてなにしてんだ」

「あ、やべ!先生に見つかってもーた!」

そういうと、一斉に全員が全員逃げ出した。
わわわ…!ちょ、あぁあぁぁあぁぁ!


「花子、こっちじゃ」

「えちょ、にお――」


私は仁王に手を引かれて走り出す。

…白石たちとは全く逆の方向へ走る走る走る。






……どうなるんだろ、私。
ちゃんと無事家へ帰れるのだろうか。



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