「あ、包帯のプチンのところ壊れてもうた。」

あかん、かえにいこう。

少年Sと包帯



ガラッ。

「…………。」

「…………っよ、白石」

ガシャンッ。

何で閉めるのよぉぉおお!

「いや…せやかて、なんで花子先生おんねん。
 保健室の美人な先生はどこいったん?」

「今出張中。
 …で、私頭痛いから頭痛薬とりに保健室にいただけなんだけどさ。
 頭痛薬どこにあるかわかんないんだよね。」

そういって、へラッと笑う花子先生。


「(…この人、道に迷ったり薬見つけれんだり…。
 ほんまアホやあ。)ここにあるんやで」

「おぉー!白石ナイス!」

そういうと、花子先生は嬉しそうに薬を持っていった。

……なんや、
この先生やと気ぃつかわんでええし気楽やあ。


「…ところで、白石は何で来たの?」

そういいながら、
花子先生は決められた薬の用途を守って薬を口にした。


「…包帯、かえにきたんやけど」

「包帯?あぁー、そういえばその腕どうしたの?」

そういって、不思議そうにじっと眺めている花子先生。


「……大怪我。
 しはったんすわ、俺。」

「……大怪我?」

「俺…実は、家族全員うしなっとるんや。」

「………え?」

そういって、目をまるめて俺をみてくる花子先生。

「……姉も、妹も父も母も――。
 火事で…みんな、燃えてもうた。」

「………」

「………生き残った俺に残されたんが、左腕の火傷のあとやね――って、ちょ…!」

「………グスッ、……しら、ぃし…あんた…」

そういって、
俺のついた嘘に泣いている花子先生。

ちょ――!
仮にも女の子を泣かしてもうた!

困った困った、どないしよ!


「う、うそやで!今の話し全部嘘やあ!」

「……え?」

「せやから!俺の家族はちゃんといきとるし、
 この腕やって…この通り無傷や」

そういって包帯をしゅるしゅる外してみると、
みるみる花子先生の顔が紅潮していく。


「し…」

「………、」

「白石おんどりゃぁぁぁあぁぁぁあっ!」

そういって、
俺に飛び蹴りをしてくる花子先生。

「ぐは…?!」

「このやろー!…ビックリしたじゃんか、ばかっ」


そういう花子先生の目にはまだ涙がたまっていて――。


なんだか、その表情が
可愛くて仕方がなくて思わず抱きしめてしまった。


「――ちょ、何し「ええやないですか、花子先生。…そんな顔されると、抱きしめたくなるねんもん。」

……アホやな、俺。
可愛くないって思ってたんに…なんでこんな可愛くなってきてんろ。

田中花子先生は、かなりの強敵や。



「(今になってやけど…謙也が美人言うてたんも、
 なんか納得やな。)」


手にいれたいって思えるもんができてしまった。
……こんな近くに。



「――って、いつまで抱きしめてんじゃボケェェェエエェェェッ!」

ドゴッ!

そういって、俺の顎を頭突きしてくる花子先生。


ほんま、
何で女らしくならんかってんろうな。


親の顔が見たい思ってしまった。




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