「――小春ぅ!小春、あんなあんな!」

先生、ユウ君うるさくって授業集中できまへん。

「よし。一氏、黙れ。」

あ、なんだ一氏。
おま…睨んでも怖くないんだからな…怖くなんか…めっちゃこえぇぇぇええぇぇっ!

少年Hのツンデレ



キーンコーンカーンコーン。

予鈴が鳴ると同時に逃げようとする私の肩を掴んでいる一氏。
あー…やだなあ。
捕まっちゃったよ。

この子めっちゃ怖いもん。

――最初はバンダナの色聞いてくる可愛い子思ってたけど、
金色のことになると物凄い怖いからね。
知っちゃったからね、先生は。


「…なあ、先生。マンツーマンで話しあれんけど」

「な…何よ、かかってきなさいよ!」

「――まあ、ついてきて。」

そういって、私は一氏につれられて教室をでた。
あぁー…やだよ、
私平手打ちくらわされるんじゃないだろうか。

痛いの反対!暴力反対!


.

..

...


「……で、話し…って」

「……あんな、俺最近思うねん。
 ――最初のうちは俺、あんたのこと気にいっとったんや」

「あ…は、はい。ありがとうございます。」


「せやけどなぁ――!
 今はあんたが大嫌いや!
 ほんま腹立つねんもん、
 消えてまえって思うくらいやあ!」

えちょ…一氏?めっちゃ口悪っ。


「俺の…俺の小春にべたべたしよって!
 小春に近づかんといてっ!」

「……え?ホモ?」

「ホモやない!モーホーやあ!

一氏…。
人はそれをホモというんだよ。
「……う、うんそっか。
 頑張ってね」

「頑張ってねって――俺の小春に近づくなや!絶対にやで!」

「いや、別にお近づきになんてなろうとしてないし」

っていうか、
むしろ逆に金色が私をからかってくるだけであって
それに嫉妬したユウジが私につっかかってくるのは二次災害といっても過言ではないだろう。


「……なんやねん、
 小春よりかわいないくせにしゃしゃりよって」

「しゃしゃってないけど。」

「っていうか、お前のその性格といい喋り方といい!
 ほんまに先生かいやっ」

あ、痛いところ突っ込まれた。



「………これが自然体だもん」

「……っはあ?」

「だから、自然体。
 ――私は教師と生徒って一線ひかれたくないの。」

そうやって、
一線ひいちゃったらそれこそ生徒の気持ちを考えられなくなりそうだし。

私は私のままでいたい。

無理に敬語使って頑張ったり、
無理にいい子ちゃん先生ぶったりするより、

こうやってお互い気持ちをぶつけあえる関係のほうがよっぽどいい。



「…………………、
 なんやねん…お前。」

「……え?」

「……お前…俺らのこと、考えてくれとれんな」

そういうと、
一氏がニッコリと微笑んだ。

きゅんっ。

あ――…なんだその微笑み。
そのギャップ。可愛さ。

こんな一氏、初めて見たんだけど。



「……せやけど、
 小春に手だす以上あんたは俺の恋敵や!」

「(え、ちょ…恋敵って)」

「正々堂々と勝負しようやないか!
 ――どっちが小春にふさわしいかな。

 …その相手になら、認めたっても…ええで」

そういうと、
一氏はぷいっとそっぽを向いた。

あ…これって、
今はやりのツンデレ?ツンデレなんですか?



「あ、ありがと」

「……ふん。」

そういうと、扉へむかって歩いていく一氏。
――別に恋敵なんかじゃないけど、
これって…私のこと認めてくれたってことだよね。一氏が。



「……なんだ、あの子。
 性格悪いし口も悪いし最低なのに…」

変な魅力あるなぁ。

っていうか、この学校には変わった子しかいないもんなあ。

「(よし、この調子でがんばるぞ!)」

私は心の中でそう決意をしたのだった。

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