キーンコーンカーンコーン。 少年Zのさぼり
予鈴がなり、
1時間目から3−Aの授業をすることとなった。
…あー、どきどきする。
私、本当に授業できるのかなあ。
「……って、あれ。誰か足りない。
少年Zがいないぞおおおお!」
「少年Z?……って、もしかして財前のこと?」
そういって、謙也が首を捻った。
「……あぁーもう、
少年Z探してくるからみんな自習ね!」
そういって、私は教室からでた。
「――あ、ちょうちょや。」
木陰に涼みながらアイポッドをきいて眠る。
――ほんま最高の日課やあ。
1時間目とか、ほんま授業うけれんし。
…眠すぎてあかんわ。
「――って、ゴルァァァアアッ!
何をしてるか、少年Z!」
「うぁっ?!」
思わず声をあげてしまう。
――俺の奇声にびっくりしたのか、ちょうちょは違うところへ飛んでいってしまった。
「……花子先生か。何の用っすか。」
「何の用って、1時間目は音楽だけど。」
「……それが?」
ボコッ!
いきなり花子先生が俺の頭をどついてきた。
いた…!何すんねん!
「授業でないとダメじゃん!」
「…うっさ。花子先生も…やっぱ他の先生と同じやん」
――授業さぼったらダメ。寝たらダメ。
…周りの迷惑になるくらいなら、教室からでてけ。
そういうから、木陰で涼みながら邪魔にならんようにしとるだけなんに。
……でてけとか、授業うけろとかほんま先生ってめんどくさくて仕方ない。
「あんたね、授業料が無駄だろぉがぁぁぁあああぁ!」
「……っは?」
「だから、授業料。お金1円でも馬鹿にしちゃダメなのよ?!」
……ちょ、あかん。
この人授業の話しからお金の話しにかえとる。
「…何で1円?」
「だから、1円がね、10枚あればうまい棒かえるのよ?
凄いと思わない?!」
「思わんし。
っつか、うまい棒で表さんといてください。」
「アホー!うまい棒馬鹿にすんなー!」
そういって、花子先生はうまい棒についてガミガミ怒ってくる。
――あーぁ。
なんか、この先生にはかなわんなあ。
「……って、ちょ…少年Z聞いてんの?!」
「(少年Z…?)え?あぁー、きいてはりますけど。」
「嘘つけーぃ!
…っていうか、私達最初は何の話ししてたんだっけ。」
そういって、完全に記憶から授業を抹殺してしまったらしい。
…やばい。
あ、俺今笑ってしまっとる。
「……何で財前笑ってるの?」
「…え?まあええやないっすか。
それより、花子さん飴食べます?」
「あ、食べる。」
そういって、花子先生は俺の手の平に置いてある
いちご味のキャンディーを嬉しそうにとっていく。
――なんや、この人、
先生やないみたい。
「ふっはー!財前ありがとー」
「いえ…お礼はこれでええんで」
そういって、
俺がぐっと腕を掴んで頬にキスをすると――。
彼女は顔を真っ赤にして俺を見てくる。
「ちょ…!ちょま…っ、
財前…あんた――」
「……花子先生っ」
「あんた、熟女が好みだったんだね!
おおおお、襲われるぅぅうう!」
そういって、どこかへ駆けていく花子先生。
……なんやあの人。
顔真っ赤にしたり怒ったり喜んだり、
いろいろ忙しい人やなあ。
しかも、俺のこと授業によびにきたんに――それすら忘れとるし。
「……まあ、次からはちゃんと授業でたろっかな」
――花子先生の授業なら、
飽きなさそうやしなあ。